国家賠償法1条の基本
国家賠償を考える際は、行政処分の取消しと損害の補填を区別します。1条では、行為が公権力の行使に当たるか、公務員の職務との関係があるか、違法性・故意過失・損害・因果関係があるかを検討します。国や自治体が関わった事故だから、すべて1条になるわけではありません。
具体例で考える
警察官が職務中、必要性のない有形力を用いてAにけがをさせたとします。公権力の行使と職務の関係を確認し、具体的状況でその行為が許される限度を超えたか、故意・過失、治療費等との因果関係を検討します。一方、公営施設の設備自体の欠陥なら2条の営造物責任が問題になります。
判断するときの順序
- 行為者の肩書だけでなく、問題の行為が公権力の行使と職務に関わるかを確認する。
- 被害者に対して負う職務上の法的義務と具体的状況から、違法性と故意・過失を検討する。
- 損害・因果関係と賠償主体を確認し、1条・2条・民法のどの規律によるかを整理する。
例外・関連制度との区別
取消訴訟で処分が取り消されたから、直ちに国家賠償の全要件が満たされるわけではありません。故意・過失や損害などの検討が必要です。逆に、賠償請求に先立って常に処分取消判決を得なければならないわけでもありません。制度の目的と請求内容を分けます。
確認問題
解答・解説:誤りです。被害者に対する1条1項の賠償責任には故意または過失を検討します。故意または重大な過失という基準は、2項の公務員への求償に関わります。
よくある質問
道路の穴による事故も必ず1条で処理しますか。
道路など公の営造物の設置・管理の瑕疵が原因なら、まず2条の適用を検討します。公務員個人の故意・過失を中心とする1条とは要件が異なります。