行政裁量は、法が行政庁に認めた判断の余地です。裁量があるかと、その判断が適法かを分け、事実誤認、考慮事項、評価の合理性、比例・平等等の観点から逸脱・濫用を検討します。
制度の基本と判断の出発点
行政事件訴訟法30条は、裁量処分について、裁量権の範囲を超え又はその濫用があった場合に限り裁判所が取り消せると定めます。行政庁が好みで何でも決めてよいという意味ではありません。裁量の有無と範囲は、根拠法令の文言、目的、判断の専門性や性質から考えます。
審査では、重要な事実の誤認、考慮すべき事情の不考慮、無関係な事情の考慮、評価の著しい不合理等を具体的に検討します。どの審査方法が適切かは処分の性質で異なり、すべての裁量事件に同じ定型句を当てはめるものではありません。
事例で確認する順番
- 根拠法令から裁量の有無・範囲と、処分が守る目的を示す。
- 事実認定、考慮事項の選択、重み付け、結論の各段階を検討する。
- 処分の性質に即した審査の下で、逸脱・濫用と評価できる理由を示す。
具体例で考える
許可判断で法令上必要な安全性資料を検討せず、申請者への好悪を重視した場合を考えます。裁量があるというだけで審査を終わらず、法の目的と無関係な事情への依存、重要資料の不考慮を問題にします。専門的判断がある場合も、資料と判断過程を確認します。
例外・区別しておくこと
伊方原発訴訟の専門技術的判断に関する枠組みを、懲戒処分や政策的判断へそのまま移植しません。処分の違法性と、国家賠償法上の違法性・過失の判断も同一ではありません。
確認問題
解答・解説:審査できます。裁量がある場合でも、事実認定や考慮事項、評価の合理性等から、逸脱・濫用がないかを判断します。裁量の存在と司法審査の排除を同一視しません。
根拠条文・参考資料
よくある質問
行政庁に裁量があると認められれば、裁判所は判断過程の誤りを一切審査できませんか。
審査できます。裁量がある場合でも、事実認定や考慮事項、評価の合理性等から、逸脱・濫用がないかを判断します。裁量の存在と司法審査の排除を同一視しません。