Case Brief
品川マンション事件|行政指導と建築確認の留保
近隣住民との協議を求める行政指導を理由に、建築確認への応答を留保した事案です。協力を拒む意思表明の後も留保できるかを、国家賠償法上の違法性として検討しました。
更新日: 2026年10月23日
裁判所
最高裁判所第三小法廷
判決日
1985-07-16
引用
民集 第39巻5号989頁
判旨・学習上の位置づけ
事案:建築計画をめぐり付近住民との紛争が生じ、建築主が行政指導に応じて協議を始めました。その後、確認申請への処分が留保されたままでは協力できないとして、直ちに応答するよう求めたことが問題となりました。 争点:建築主が当初協力していても、その後に真摯・明確に協力できない意思を示した場合、行政指導が続いているという理由だけで建築確認への応答を留保できるかが争点でした。 判断:最高裁は、建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情がない限り、行政指導を理由とするその後の留保を国家賠償法1条1項上違法としました。任意の協力を求める行政指導と、法令に従って申請へ応答する義務を分けた判断です。最初に協議に応じた事実から、行政庁が無期限に処理を止められるわけではないことを示しています。
射程
行政指導がある場合の処理留保をすべて一律に違法としたのではありません。協議の経緯、協力拒否の表明の内容・時期、特段の事情を具体的に確認する必要があります。 行政手続法制定前の判例であり、現行32条・33条等と併せて読むと任意性の意味が分かります。国家賠償上の違法性を扱ったことと、個別の申請処分の取消しの問題は区別します。
根拠条文・参考資料
資料の確認日:2026年10月23日