国家賠償法2条は、道路・河川などの公の営造物の設置又は管理に瑕疵があり、それによって損害が生じた場合の責任を定めます。担当職員個人の過失を探すことと、施設が備えるべき安全性を判断することを区別します。
制度の仕組みと要件
公の営造物とは、公の目的に供される物的施設などをいいます。国や公共団体が所有するかという形式だけでなく、公の用に供され、設置・管理されているかを確認します。道路の穴、道路上の落下物、施設の設備不良など、問題となる物と事故の原因を具体的に特定することが出発点です。すべての公共サービス上の不利益を2条の問題にまとめるわけではありません。
設置又は管理の瑕疵は、営造物が通常備えるべき安全性を欠くことと整理されます。施設の種類・構造・用法、場所的な環境、利用の状況などを踏まえて判断します。事故が起きたという事実だけで直ちに瑕疵があるとはいえず、逆に担当職員の注意不足が具体的に立証できないから責任が否定されるとも限りません。
瑕疵が認められても、それにより当該損害が生じたことが必要です。第三者が危険物を置いた場合でも、管理者の対応が可能だった時間や危険の発見状況を検討します。道路、河川その他の施設で管理の条件は異なるため、ある種類の施設についての判断を、条件の違う施設へそのまま当てはめないようにします。2項の求償は、被害者に対する責任が成立するかとは別の問題です。
事例を検討する順序
- 事故の原因となった公の営造物と設置・管理の主体を特定する。
- 通常の利用と現場の状況から、必要な安全性を欠いていたかを判断する。
- その瑕疵と損害の因果関係、別の原因の影響を検討する。
具体例で確かめる
歩行者用の市道に深い穴があり、夜間照明もなく、Aが通常の通行中に転倒した例では、穴の位置・大きさ、通行の状況、注意表示や補修の有無を確認します。「市の職員の誰が見落としたか」を特定することだけに終始せず、道路として通常備えるべき安全性を欠いたかを検討します。Aの歩き方など、損害の発生・拡大に関係する事情は別途評価します。
似た制度との違い
1条は公権力の行使に当たる公務員の職務行為について故意・過失などを要件とします。2条は公の営造物の安全性を中心に判断する制度です。同じ事故で双方の責任が問題になることはありますが、職員の過失と施設の瑕疵を同じ要件として書かないようにします。
確認問題
解答・解説:必ず棄却されるわけではありません。2条では公の営造物の設置・管理の瑕疵と損害の因果関係などを検討します。担当職員個人の過失の立証と、通常備えるべき安全性の欠如は別の問いです。
根拠条文・参考資料
よくある質問
道路管理者の担当職員に過失があったと証明できなければ、国家賠償法2条の請求は必ず棄却されるか。
必ず棄却されるわけではありません。2条では公の営造物の設置・管理の瑕疵と損害の因果関係などを検討します。担当職員個人の過失の立証と、通常備えるべき安全性の欠如は別の問いです。