確定した判断を蒸し返さない
AのBに対する貸金100万円の返還請求を認める判決が確定したとします。Bが後の訴訟で、その判決が判断した時点における貸金債務の不存在を改めて争えると、紛争が終わりません。既判力は、手続を通じて確定した判断に一定の拘束力を与え、後の裁判との矛盾を防ぎます。
三つの範囲を順に確認する
- 客観的範囲:どの権利関係についての判断か。114条1項は主文に包含するものに範囲を限定する。
- 主観的範囲:誰が拘束されるか。115条の当事者、一定の承継人などを確認する。
- 時的範囲:いつの権利関係の判断か。原則として事実審の口頭弁論終結時を基準に整理する。
判決理由にも効くのか
裁判所が理由中で述べた契約の有効性や個々の事実認定には、原則としてそのこと自体の既判力は生じません。もっとも、相殺のため主張した請求の成立・不成立の判断には、相殺で対抗した額の範囲で既判力を認める114条2項の特則があります。理由に書かれているから全部無関係ともいえません。
新しい事情との区別
前訴で主張できた基準時前の弁済を、敗訴後に持ち出して確定判断を覆そうとする場合と、基準時後に実際に返済した場合は区別します。後者は新たに生じた債務消滅事由であり、前訴の判断と当然に矛盾するわけではありません。前訴に現れなかった事実というだけで基準時後になるのではなく、発生時点を確認します。
根拠条文と確認日
法令適用基準日・確認日:2026年10月22日。下記の根拠条文を基にした資格学習用の一般的解説です。事例と確認問題はLavaLexのオリジナルです。
よくある質問
判決が確定すれば理由中の判断も全部拘束しますか。
原則として違います。主文に包含する判断を中心に考え、相殺に関する特則などを別に確認します。