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既判力とは?確定判決が後の裁判に及ぼす効力

確定判決の既判力について、主文の判断・当事者の範囲・基準時を順に解説。貸金返還訴訟の例で、判決理由や口頭弁論終結後の弁済との違いを整理します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

既判力は、確定判決で判断された権利関係について、後の訴訟で矛盾する判断を防ぐ効力です。何に、誰に、いつまでの事情について効くのかを分けて検討します。

到達目標

  • ✓既判力の客観的・主観的・時的範囲を区別する
  • ✓判決理由と主文の違いを説明する
  • ✓基準時後の新事情を整理する

ひっかけポイント

  • !判決理由の判断すべてに既判力が生じると思わない
  • !確定日をそのまま事実判断の基準時としない
  • !基準時後に生じた事情まで一律に遮断しない

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

確定した判断を蒸し返さない

AのBに対する貸金100万円の返還請求を認める判決が確定したとします。Bが後の訴訟で、その判決が判断した時点における貸金債務の不存在を改めて争えると、紛争が終わりません。既判力は、手続を通じて確定した判断に一定の拘束力を与え、後の裁判との矛盾を防ぎます。

三つの範囲を順に確認する

  1. 客観的範囲:どの権利関係についての判断か。114条1項は主文に包含するものに範囲を限定する。
  2. 主観的範囲:誰が拘束されるか。115条の当事者、一定の承継人などを確認する。
  3. 時的範囲:いつの権利関係の判断か。原則として事実審の口頭弁論終結時を基準に整理する。

判決理由にも効くのか

裁判所が理由中で述べた契約の有効性や個々の事実認定には、原則としてそのこと自体の既判力は生じません。もっとも、相殺のため主張した請求の成立・不成立の判断には、相殺で対抗した額の範囲で既判力を認める114条2項の特則があります。理由に書かれているから全部無関係ともいえません。

新しい事情との区別

前訴で主張できた基準時前の弁済を、敗訴後に持ち出して確定判断を覆そうとする場合と、基準時後に実際に返済した場合は区別します。後者は新たに生じた債務消滅事由であり、前訴の判断と当然に矛盾するわけではありません。前訴に現れなかった事実というだけで基準時後になるのではなく、発生時点を確認します。

根拠条文と確認日

法令適用基準日・確認日:2026年10月22日。下記の根拠条文を基にした資格学習用の一般的解説です。事例と確認問題はLavaLexのオリジナルです。

よくある質問

判決が確定すれば理由中の判断も全部拘束しますか。

原則として違います。主文に包含する判断を中心に考え、相殺に関する特則などを別に確認します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

既判力は、確定判決で判断された請求の存否を、後の訴訟で矛盾して争えなくする効力です。何について、誰に対し、いつの時点の判断が確定したかを分けて整理します。

  1. 確定判決の主文に包含された請求の存否を特定する。
  2. 当事者・訴訟担当の本人・承継人等の対象者を確認する。
  3. 事実審の口頭弁論終結時を基準に、前後の事由を分ける。
効果
114条1項は主文に包含するものに既判力を認め、115条は効力が及ぶ者を定めます。基準時に請求権が存在すると確定しても、その後に弁済等で消滅する可能性まで否定するものではありません。
例外・注意点
理由中のすべての事実認定に既判力が生じるわけではありません。相殺には114条2項の例外があり、後発事由の可否も形成権等の性質により検討が必要です。未確定の判決や仮執行とは区別します。
理由中の判断と後発事由との比較
理由の前提判断を何でも確定事項にせず、相殺の例外を確認します。また、前の基準時の判断を蒸し返す事情と、その後に新たに生じた弁済等の事由を分けます。

事例で考える

AのBに対する100万円の請求を認める判決が確定しました。Bは、その訴訟の事実審の口頭弁論終結後に100万円を実際に支払っています。Aは「判決が確定した以上、その支払は主張できない」と述べました。

基準時後の弁済と既判力の関係を説明してください。

答えと理由を見る

基準時後に現実にされた弁済は、基準時の判断を否定する事情と区別されます。

判決が確定するのは基準時における請求権の存否です。その後の弁済という新たな消滅事由まで存在しないと確定するわけではありません。執行段階でどの手続により主張するかも別に調べますが、既判力だけで後の支払を一律に排除する説明は誤りです。

自分の言葉で説明する

理由中の判断と後発事由との違いを、自分の言葉で説明してください。

説明例を見る

理由の前提判断を何でも確定事項にせず、相殺の例外を確認します。また、前の基準時の判断を蒸し返す事情と、その後に新たに生じた弁済等の事由を分けます。 理由中のすべての事実認定に既判力が生じるわけではありません。相殺には114条2項の例外があり、後発事由の可否も形成権等の性質により検討が必要です。未確定の判決や仮執行とは区別します。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
基準時後の弁済と既判力の関係を説明してください。
判断の基準
既判力は、確定判決で判断された請求の存否を、後の訴訟で矛盾して争えなくする効力です。何について、誰に対し、いつの時点の判断が確定したかを分けて整理します。
事実へのあてはめ
判決が確定するのは基準時における請求権の存否です。その後の弁済という新たな消滅事由まで存在しないと確定するわけではありません。執行段階でどの手続により主張するかも別に調べますが、既判力だけで後の支払を一律に排除する説明は誤りです。
結論
基準時後に現実にされた弁済は、基準時の判断を否定する事情と区別されます。

覚えておきたい問い

既判力の客観的範囲は114条1項でどう定められますか。

答えを確かめる

114条1項は既判力の客観的範囲を主文に包含するものに限定する。どの請求の存否が判断されたかを確かめ、理由中で言及されたすべての前提事実を同じ範囲で確定するものと考えない。 114条1項は主文に包含するものに既判力を限定する。理由中の事実認定に既判力が一律に生じるわけではない。理由中の判断に関する相殺の例外や、信義則等の別の問題とは区別する。

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理由中の相殺の判断にはどの例外がありますか。

答えを確かめる

114条2項は相殺をもって対抗した額について、相殺のために主張した請求の成立・不成立の判断に既判力を認める。理由中には既判力が生じないという原則だけで、明文の例外を無視してはならない。 114条2項は相殺の抗弁について、理由中で判断される自働債権の成立・不成立に特別に既判力を認める。例外の対象と額に限界があり、相殺に関連して述べたすべての事項に広げてはいけない。

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判決の効力が第三者に及ぶ場合を115条から説明してください。

答えを確かめる

115条は当事者や法定の範囲の承継人等を定めるのであり、第三者全員に無制限の効力を及ぼすものではない。特別な対世効がある場合などは別の根拠を検討し、通常の既判力と混同しない。 115条1項は当事者以外にも確定判決の効力が及ぶ場合を列挙する。同項2号は訴訟担当におけるその他人を対象とするため、形式的な当事者の表示だけで範囲を限定しない。

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口頭弁論終結後の現実の弁済はどう位置付けますか。

答えを確かめる

基準時後に生じた弁済は、基準時の請求権の存否の判断を否定する主張と同じではない。確定判決があることから、その後の履行という新しい事由まで一律に排除することはできない。 既判力は基準時における判断を確定するため、その後の弁済という新たな事由まで存在しないと確定するものではない。基準時前の事情を後から持ち出す場合と、基準時後に実際に生じた消滅事由を分ける。

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判決言渡し、確定、仮執行の違いを説明してください。

答えを確かめる

114条は確定判決の既判力を定める。判決が言い渡されたことと確定したことは別であり、仮執行等の他の効力が問題となる場合も、既判力の発生と同一に扱わない。 115条1項3号は同項1号・2号の者の口頭弁論終結後の承継人を定める。判決言渡し後や確定後だけに限定するのではなく、条文が定める基準時を正確に確認する。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

前訴判決の確定、既判力の及ぶ判断内容、後訴当事者への効力、前訴の基準時との前後関係を示し、後訴の判断との抵触を検討します。

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