無効と取消しの基本
公序良俗に反する契約などの「無効」と、未成年者や詐欺被害者などを保護する「取消し」では、効力を否定する仕組みが異なります。取消可能な行為は、取り消されるまでは有効として扱われ、取消権者が追認すれば取消しをすることができなくなります。無効の主張と、相手方に対する取消しの意思表示を混同しないことが出発点です。
具体例で考える
17歳のAが法定代理人の同意を要する高額な契約をしたとします。例外に当たらなければ、制限行為能力を理由に取り消せます。契約をしただけで自動的に無効になるわけではありません。これに対し、犯罪の実行を対価付きで依頼する契約では、公序良俗違反による無効を検討します。
判断するときの順序
- まず効力を否定する原因を特定し、無効か取消原因かを区別する。
- 取消しなら、誰が取消権を持つか、相手方への意思表示があるか、追認や期間経過で権利が消えていないかを確認する。
- 効力が否定された後、民法121条・121条の2に従い返還関係を整理する。
例外・関連制度との区別
無効な行為は原則として追認しても有効になりません。ただし当事者が無効を知って追認した場合は、新たな行為として扱われます。取消しの追認には、取消原因が消滅した後であることなどの条件があり、単に契約後に代金の一部を払ったという事実だけで結論を決められません。
確認問題
解答・解説:誤りです。取消可能な契約は取り消されるまでは有効として扱われます。適法な取消しがされると、初めから無効であったものとみなされます。
よくある質問
取消し後は必ず受け取った物の全額を返すのですか。
原状回復が基本ですが、制限行為能力者や受領時に無効を知らなかった者などには民法121条の2の特則があります。受領者の状態を確認します。