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無効と取消しの違い|法律行為の効力と追認

無効は法律行為に当初から効力が生じないこと、取消しは取消権の行使によって効力を遡って失わせることです。取消権者・追認・原状回復を分けて整理します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

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論点・条文・判例を、つまずきやすい箇所を確かめながら読み進めます。

30秒でわかる結論

無効は法律行為に当初から効力が生じないこと、取消しは取消権の行使によって効力を遡って失わせることです。取消権者・追認・原状回復を分けて整理します。

到達目標

  • ✓無効と取消しの効果を区別する
  • ✓取消し・追認・返還の順序を説明する

ひっかけポイント

  • !未成年者の契約をすべて当然無効とする。
  • !無効行為の追認と取消可能な行為の追認を同じものとして扱う。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

無効と取消しの基本

公序良俗に反する契約などの「無効」と、未成年者や詐欺被害者などを保護する「取消し」では、効力を否定する仕組みが異なります。取消可能な行為は、取り消されるまでは有効として扱われ、取消権者が追認すれば取消しをすることができなくなります。無効の主張と、相手方に対する取消しの意思表示を混同しないことが出発点です。

具体例で考える

17歳のAが法定代理人の同意を要する高額な契約をしたとします。例外に当たらなければ、制限行為能力を理由に取り消せます。契約をしただけで自動的に無効になるわけではありません。これに対し、犯罪の実行を対価付きで依頼する契約では、公序良俗違反による無効を検討します。

判断するときの順序

  1. まず効力を否定する原因を特定し、無効か取消原因かを区別する。
  2. 取消しなら、誰が取消権を持つか、相手方への意思表示があるか、追認や期間経過で権利が消えていないかを確認する。
  3. 効力が否定された後、民法121条・121条の2に従い返還関係を整理する。

例外・関連制度との区別

無効な行為は原則として追認しても有効になりません。ただし当事者が無効を知って追認した場合は、新たな行為として扱われます。取消しの追認には、取消原因が消滅した後であることなどの条件があり、単に契約後に代金の一部を払ったという事実だけで結論を決められません。

確認問題

解答・解説:誤りです。取消可能な契約は取り消されるまでは有効として扱われます。適法な取消しがされると、初めから無効であったものとみなされます。

よくある質問

取消し後は必ず受け取った物の全額を返すのですか。

原状回復が基本ですが、制限行為能力者や受領時に無効を知らなかった者などには民法121条の2の特則があります。受領者の状態を確認します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

無効な行為は初めから効力がない。取り消せる行為は取消しがされるまでは効力を持ち、取消しによって初めから無効だったものと扱われる。

  1. 無効原因なのか取消原因なのかを特定する。
  2. 取消しでは、取消権者が誰か、追認や期間経過で取消権が失われていないかを確認する。
  3. 金品の給付がある場合、121条の2の原状回復と返還範囲を検討する。
効果
取り消された行為は121条により遡及的に無効と扱われ、原則として受けた給付を返す義務が生じる。
例外・注意点
制限行為能力者などの返還範囲には現存利益の限度という特則がある。取消権は追認できる時から5年、行為時から20年の制限がある。法定追認には、追認できる時以後の所定の行為と異議を留めなかったことが必要。
無権代理の追認との比較
無効行為は追認しても当然に有効とはならず、119条の新たな行為の扱いを確認する。取消可能行為の追認(122条)と、無権代理の追認(116条)は効果と対象が異なる。

事例で考える

Aは詐欺による取消権を持つ。詐欺の事情を知り、取消権があることも理解した後に、異議を留めず売主Bへ残代金を全額支払った。

後から同じ詐欺を理由に取り消せるか。

答えと理由を見る

追認できる時以後の履行として法定追認が成立すれば、取り消せない。

取消しの原因となった状況が消え、取消権の認識もあるため124条の条件を満たす。その後の異議を留めない履行は125条1号に該当する。

自分の言葉で説明する

取消しを主張できる人と、返還する範囲を別々に説明する。

説明例を見る

120条は取消権者を定める規定で、誰でも取り消せるわけではない。取消し後にいくら返すかは121条の2で判断し、制限行為能力者などの特則も別に確認する。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
Aは残代金支払後に契約を取り消せるか。
判断の基準
追認できる時以後、異議を留めず全部又は一部の履行をすれば法定追認となり、以後取消しはできない(124・125条)。
事実へのあてはめ
Aは詐欺と取消権を知り、異議を留めず残代金を支払った。
結論
法定追認が成立し、Aは同じ取消権を行使できない。

覚えておきたい問い

取消しがされた行為の効力と、既に給付された物の処理は何条で考えるか。

答えを確かめる

効力は121条により初めから無効と扱い、返還は121条の2の原状回復で考える。制限行為能力者などの返還範囲の特則にも注意する。

保存した内容を見る

取消権の期間制限を二つ挙げる。

答えを確かめる

126条により追認できる時から5年、行為時から20年。どちらか一方が経過すればよいので、起算点を区別する。

保存した内容を見る

履行しただけで法定追認になると断定してよいか。

答えを確かめる

断定できない。124条の追認できる時以後であること、125条所定の行為に当たること、異議を留めていないことを確認する。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

「契約は無効」と一括して書かず、無効原因または取消原因、取消権者、取消しの行使、返還という順に構成します。第三者との関係がある事案では、それぞれの保護規定を別に検討します。

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