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詐欺・強迫による取消し|第三者保護まで整理

詐欺・強迫による意思表示は取り消すことができます。第三者がだました場合の要件と、取消し後の第三者保護は別の問題です。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

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30秒でわかる結論

詐欺・強迫による意思表示は取り消すことができます。第三者がだました場合の要件と、取消し後の第三者保護は別の問題です。

到達目標

  • ✓詐欺・強迫の取消要件を説明する
  • ✓第三者詐欺と第三者保護を区別する

ひっかけポイント

  • !第三者が登場するすべての場面に96条3項を使う。
  • !強迫にも詐欺と同じ第三者保護要件があると思い込む。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

詐欺・強迫による取消しの基本

詐欺は相手を欺いて誤った認識に導き、そのために意思表示をさせることです。強迫は害悪を告げて畏怖させ、そのために意思表示をさせることです。民法96条は、このように自由な意思決定が害された者に取消権を認めます。説明が不十分だったというだけで直ちに詐欺になるわけではなく、欺く行為と意思表示に至る因果関係を確かめます。

具体例で考える

売主Bが、雨漏りを知りながら修理済みだとうそをつき、買主Aがそれを信じて家を購入した場合、Aは詐欺による取消しを検討できます。仲介人Cだけがだました場合には、契約の相手方Bがその詐欺を知っていたか、知ることができたかという追加の検討が必要です。

判断するときの順序

  1. 欺く行為または強迫行為、錯誤または畏怖、意思表示までの因果関係を確認する。
  2. 行為者が契約相手か第三者かを分ける。第三者詐欺では相手方の認識・認識可能性を検討する。
  3. 取消権の行使と、その後に利害関係を取得した第三者への対抗可能性を分けて判断する。

例外・関連制度との区別

詐欺による取消しは、善意かつ無過失の第三者には対抗できません。これに対し、96条3項は強迫による取消しを第三者保護の対象にしていません。また、第三者による強迫には、第三者詐欺に関する同条2項の相手方の悪意・有過失という要件は置かれていません。

確認問題

解答・解説:誤りです。第三者詐欺では、相手方Bが詐欺を知り、または知ることができたことが必要です。他の制度が使えるかは別に検討します。

よくある質問

詐欺の取消しと損害賠償は同じ請求ですか。

異なります。取消しは意思表示の効力に関わり、損害賠償は生じた損害の補填に関わります。不法行為などの要件を別途検討します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

詐欺又は強迫によってした意思表示は取り消すことができる。相手方以外が働きかけた場合と、取消し後に権利を主張する第三者がいる場合は別の規律を使う。

  1. 欺く行為又は違法な害悪の告知などが、意思表示に影響したかを確認する。
  2. 行為者が相手方か、相手方以外の第三者かを区別する。
  3. 取消しを第三者に対抗する場面では、詐欺か強迫かを改めて確認する。
効果
取消権を行使すると、その意思表示に基づく行為は初めから無効だったものと扱われる。
例外・注意点
第三者の詐欺では、相手方が詐欺を知り又は知ることができたことが必要。第三者の強迫にはこの追加条件がない。詐欺の取消しは善意無過失の第三者に対抗できないが、96条3項は強迫の取消しを対象としていない。
第三者詐欺と第三者保護との比較
96条2項の第三者はだました人、3項の第三者は取引から法律上の利害関係を取得した人。同じ語でも役割が違う。

事例で考える

CはAをだましてB所有の機械を買わせた。売主BはCの詐欺を知らず、注意しても知ることができなかった。Aには錯誤その他の取消原因はないものとする。

Aは第三者Cの詐欺だけを理由にBとの売買を取り消せるか。

答えと理由を見る

96条2項による取消しは認められない。

詐欺をしたCは契約相手のBとは別人である。Bに悪意も過失もないため、第三者詐欺で必要な相手方側の条件を欠く。

自分の言葉で説明する

同じ事例でCの行為が強迫だったら、Bの善意無過失はどう作用するか。

説明例を見る

96条2項は第三者による詐欺の規定で、第三者による強迫には適用されない。強迫の要件と意思表示との因果関係があれば、Bの善意無過失だけで取消しは妨げられない。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
第三者Cによる詐欺を理由にAが取り消せるか。
判断の基準
第三者の詐欺による意思表示は、相手方が詐欺を知り又は知り得た場合に取り消せる(96条2項)。
事実へのあてはめ
Bは詐欺を知らず、知り得る事情もなかった。
結論
Aはこの詐欺を理由には取り消せない。

覚えておきたい問い

契約に参加しないCがAをだました場合、相手方Bについて何を確認するか。

答えを確かめる

Bが詐欺を知っていたか、知ることができたか。第三者の強迫には同じ条件を要求しない。

保存した内容を見る

詐欺と強迫の取消しで、96条3項の第三者保護は同じか。

答えを確かめる

同じではない。善意無過失の第三者に対抗できないという96条3項は詐欺の取消しを対象とし、強迫の取消しは含まない。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

「誰が、誰を、どのように意思決定させたか」を事実から拾います。第三者詐欺の相手方保護と、転得者などの第三者保護を別の段落で処理すると、条文の適用関係が明確になります。

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