民法90条は、公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為を無効とします。違法な目的、取引の内容、当事者の関係や締結過程を具体的に検討し、問題のある合意の効力を判断します。
制度と判断の出発点
契約自由の原則があっても、あらゆる合意の効力が認められるわけではありません。犯罪への協力を約する契約、著しく不当な利益を得る取引、人の基本的な自由を過度に拘束する合意などでは、90条による効力の否定が問題となります。
一方当事者に不利益があることや、法令に触れる事情があることだけで、直ちに契約全体が無効になるとは限りません。規定の趣旨、違反の程度、相手方の認識、保護すべき利益を検討します。一部の条項の問題が契約全体に及ぶかも独立した検討事項です。
事例で確認する順番
- 問題となる合意・条項と、それが害する利益を具体化する。
- 取引の内容と締結過程を踏まえ、90条で効力を否定すべき理由を述べる。
- 無効の範囲を示し、給付済みの場合は返還の可否も別に検討する。
具体例で考える
生活に困窮したAに対し、Bが急迫した事情につけ込み、わずかな金銭と引換えに著しく過大な財産の移転を約束させたとします。単なる価格差だけでなく、Aの事情、交渉の経緯、Bの認識を挙げて、不当性を説明する必要があります。
区別しておきたい点
90条による無効と、取消権を行使して効力を覆す場合は異なります。無効だから給付したものを常に全額取り戻せるとも限らず、不法原因給付を定める708条との関係を確認します。
確認問題
解答・解説:当然とはいえません。契約の無効と、既にした給付の返還は別問題です。不当利得の要件に加え、708条の不法原因給付の規律を検討します。
根拠条文・判例
よくある質問
公序良俗に反する契約で金銭を支払った場合、無効という理由だけで当然に返還を請求できますか。
当然とはいえません。契約の無効と、既にした給付の返還は別問題です。不当利得の要件に加え、708条の不法原因給付の規律を検討します。