取締役は会社との委任関係を基礎に、善管注意義務と忠実義務を負います。具体的な職務、判断過程、利益相反、損害を分け、会社法423条の責任にどう結び付くかを検討します。
制度と判断の出発点
330条は会社と役員等の関係に委任の規定を適用し、民法644条の善管注意義務が問題となります。355条は法令・定款・株主総会決議の遵守と、会社のため忠実に職務を行うことを定めます。義務の名称だけを列挙せず、事案で何をすべきだったかを特定する必要があります。
事業上の判断では、情報収集、専門家の意見、比較した選択肢、利益相反の有無などが重要です。損失が生じたという結果だけで注意義務違反を認定しません。他方、違法行為や自己の利益を優先した行為まで、経営判断だからという理由で自由になるわけではありません。
事例で確認する順番
- 取締役の具体的な職務と、情報・権限・利害関係を整理する。
- どの行為又は不作為が善管注意義務・忠実義務に反するかを示す。
- 任務懈怠、損害、因果関係等の責任要件を分けて検討する。
具体例で考える
会社のために株式を買い取る決定をした場合、相場との差だけでなく、事業再編の目的、買収による利益、算定方法、検討手続を確認します。自分が売主でもある場合には、利益相反取引の承認等の問題を別に検討しなければなりません。
区別しておきたい点
会社に対する423条の責任と、第三者に対する429条の責任では要件が異なります。株主の不満と会社の損害も同じではなく、誰が誰にどの損害の賠償を求めるのかを明確にします。
確認問題
解答・解説:判断当時の情報、検討手続、事業目的、代替案、取締役の利害関係等を集めます。その上で、具体的な義務違反と損害・因果関係を区別して判断します。
根拠条文・判例
よくある質問
会社の取引で損失が出たとき、善管注意義務違反を検討するため、結果以外にどの事情を集めますか。
判断当時の情報、検討手続、事業目的、代替案、取締役の利害関係等を集めます。その上で、具体的な義務違反と損害・因果関係を区別して判断します。