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株主代表訴訟の提訴要件|会社の請求権を株主が追及する

株主代表訴訟は、会社が有する役員等への責任追及を株主が会社のために行う制度です。株主自身の損害賠償と区別し、会社法847条の保有期間・提訴請求・待機期間を確認します。

更新日: 2026年10月24日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

株主代表訴訟は、会社が有する役員等への責任追及を株主が会社のために行う制度です。株主自身の損害賠償と区別し、会社法847条の保有期間・提訴請求・待機期間を確認します。

到達目標

  • ✓追及する請求権の帰属と847条の対象責任を確認する。
  • ✓株主資格・保有期間・会社への提訴請求を調べる。
  • ✓60日の経過又は例外、不当目的、資格維持等を検討する。

ひっかけポイント

  • !代表訴訟は多数株主による決議がなければ提起できない制度ではありません。少数の株式でも法定要件を満たせば問題となる一方、保有期間や不当目的等の要件を省略してよいわけではありません。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

株主代表訴訟は、会社が有する役員等への責任追及を株主が会社のために行う制度です。株主自身の損害賠償と区別し、会社法847条の保有期間・提訴請求・待機期間を確認します。

制度の仕組みと検討する要件

847条は、原則として6か月前から引き続き株式を有する株主に、会社へ責任追及等の訴えを提起するよう請求する権限を認めます。非公開会社では2項により保有期間の要件が変更され、定款による期間短縮等も確認します。対象は同条が定める責任追及等であり、会社のどんな取引債権でも代表訴訟で追えるわけではありません。

会社が請求から60日以内に提訴しないとき、請求した株主は会社のために訴えを起こせます。回復できない損害が会社に生じるおそれがある場合の例外等も確認します。不正な利益を図る目的等の制限、訴えを続ける間の株主資格、会社への通知等を切り分けます。認容された賠償金の帰属先は会社であり、提訴株主の個人的利益ではありません。

判断の順序

  1. 追及する請求権の帰属と847条の対象責任を確認する。
  2. 株主資格・保有期間・会社への提訴請求を調べる。
  3. 60日の経過又は例外、不当目的、資格維持等を検討する。

事例へのあてはめ

公開会社の株主Aが、取締役Bの任務懈怠により会社が損害を受けたと考えた場合、Aが株価下落分を直接自分に払えと請求する問題と、会社のBに対する423条の請求を代表訴訟で行使する問題を分けます。後者ではAの継続保有と会社への請求、待機期間を確認します。

混同しやすい点

代表訴訟は多数株主による決議がなければ提起できない制度ではありません。少数の株式でも法定要件を満たせば問題となる一方、保有期間や不当目的等の要件を省略してよいわけではありません。

確認問題

解答・解説:帰属先は会社です。株主は会社のために会社の責任追及を行います。株主自身の損害について直接請求する訴えとは、権利の帰属と請求内容が異なります。

根拠となる一次資料

よくある質問

株主代表訴訟で取締役への損害賠償請求が認容されると、賠償金は訴えた株主個人に帰属しますか。

帰属先は会社です。株主は会社のために会社の責任追及を行います。株主自身の損害について直接請求する訴えとは、権利の帰属と請求内容が異なります。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

株主代表訴訟は、会社の請求権を会社のために株主が追及する仕組みです。株主自身への賠償請求とは区別し、株式の保有、会社への提訴請求、待機期間、例外を順に確認します。

  1. 会社の種類と株主の保有要件を確認する。
  2. 会社への適法な提訴請求と、請求の日を確定する。
  3. 60日の経過、会社の対応、回復不能な損害のおそれの有無を調べる。
効果
会社が提訴請求から60日以内に訴えを起こさなければ、要件を満たす株主は会社のために提訴できます。回収される賠償金は会社に帰属し、株主には勝訴時の相当な費用等の償還の規律があります。
例外・注意点
公開会社の継続保有期間の原則と、非公開会社に関する847条2項を区別します。60日待つことで会社に回復不能な損害が生ずるおそれがある場合の例外は、株主の私的な都合とは異なります。
株主個人の損害賠償請求との比較
代表訴訟では株主が会社の権利を追及します。株主が提訴したからといって、会社の損害賠償金がその株主自身のものになるわけではありません。

事例で考える

非公開会社Xの株主Aは、Dの会社に対する責任について適法に会社へ提訴請求をしました。請求から70日が経過してもXは提訴していません。Aは「勝てば賠償金は自分に入る」と考えています。

提訴の時期と賠償金の帰属を説明してください。他の提訴要件は満たすものとします。

答えと理由を見る

60日の待機期間は経過しています。Aは会社のために提訴できますが、賠償金はXに帰属します。

847条3項の期間は提訴請求の日から60日なので、70日という設例では期間の条件を満たします。ただし訴求するのはXのDに対する請求権です。Aの費用等の償還は852条の別の問題であり、賠償金の帰属と混同しません。

自分の言葉で説明する

株主個人の損害賠償請求との違いを、自分の言葉で説明してください。

説明例を見る

代表訴訟では株主が会社の権利を追及します。株主が提訴したからといって、会社の損害賠償金がその株主自身のものになるわけではありません。 公開会社の継続保有期間の原則と、非公開会社に関する847条2項を区別します。60日待つことで会社に回復不能な損害が生ずるおそれがある場合の例外は、株主の私的な都合とは異なります。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
提訴の時期と賠償金の帰属を説明してください。他の提訴要件は満たすものとします。
判断の基準
株主代表訴訟は、会社の請求権を会社のために株主が追及する仕組みです。株主自身への賠償請求とは区別し、株式の保有、会社への提訴請求、待機期間、例外を順に確認します。
事実へのあてはめ
847条3項の期間は提訴請求の日から60日なので、70日という設例では期間の条件を満たします。ただし訴求するのはXのDに対する請求権です。Aの費用等の償還は852条の別の問題であり、賠償金の帰属と混同しません。
結論
60日の待機期間は経過しています。Aは会社のために提訴できますが、賠償金はXに帰属します。

覚えておきたい問い

代表訴訟は誰の請求権を追及する訴えですか。

答えを確かめる

株主代表訴訟が追及するのは会社に帰属する請求権である。会社に対する支払を求めるため、回収される損害賠償金を提訴した株主の固有財産にする制度ではない。株主の費用償還とは別問題である。 847条の責任追及等の訴えでは、株主が会社のために会社の権利を訴訟で追及する。株主個人が株価下落の補償を自分への支払として求める訴えとは、権利の帰属先と請求の内容を区別する。

保存した内容を見る

公開・非公開による継続保有要件の違いを説明してください。

答えを確かめる

847条1項は原則として6か月の継続保有を要件とし、定款でそれより短い期間を定めることを認める。非公開会社に関する同条2項の扱いもあるため、会社の種類と定款を確認する。 847条2項は非公開会社について、1項の継続保有期間の要件を適用しない読替えを定める。公開会社の原則を非公開会社にもそのまま当てはめず、会社の種類による違いを確認する。

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会社への提訴請求後、原則として何日待ちますか。

答えを確かめる

847条3項は会社が提訴請求の日から60日以内に訴えを提起しない場合の株主による提訴を認める。会社にまず対応の機会を与える手続であり、請求の日、会社の対応、経過期間を確認する。 847条3項の原則的な待機期間は60日であり、10日では満了しない。例外に当たる事情があるかは同条5項により別途検討するが、設問では例外がないため通常の期間を適用する。

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直ちに提訴できる847条5項の例外は何ですか。

答えを確かめる

847条5項が問題にするのは会社に回復することのできない損害が生ずるおそれである。提訴株主の私的な日程上の都合だけでは、この会社側の損害に関する例外の要件を満たさない。 847条5項は待機期間の経過によって会社に回復不能の損害が生ずるおそれがあるときの例外を定める。株主個人の都合による急ぎでは足りず、会社に生じる損害とその回復可能性を確認する。

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株主の費用等の償還と、敗訴した場合の責任を説明してください。

答えを確かめる

852条2項は、敗訴した株主が会社に損害を賠償する責任を、悪意があった場合を除いて否定する。敗訴と悪意を同じものとして扱わず、請求が認められなかった結果だけで賠償義務を導かない。 852条1項は、勝訴した株主が訴えのために必要な費用等を支出したときに、相当と認められる額を会社へ請求する仕組みを定める。会社に帰属する賠償金そのものを株主が取得することとは異なる。

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答案・記述式での使い方

60日の経過又は例外、不当目的、資格維持等を検討する。

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