分からないままでも判決は必要
AがBに「貸した100万円を返してほしい」と請求し、Bは借入れを否定したとします。証拠を調べても貸付けの事実があるかないか決められない場合、裁判所は判断を保留し続けることはできません。この場面で、どちらが不利益を負うかを決めるのが証明責任です。
法律要件から考える
一般的には、権利を発生させる規定の要件事実はその権利を主張する側が、権利の消滅などをもたらす規定の要件事実はそれを主張する側が証明責任を負うという整理から出発します。ただし、個別の法律が推定や証明責任の転換を定める場合は、その規定を先に確認します。
- どの請求権の、どの法律要件が問題かを特定する。
- その要件に対応する具体的事実を取り出す。
- 推定規定などの特則を確認する。
- 証拠評価を経ても真偽不明なら、その事実の証明責任に従って判断する。
貸付けと返済では負担する側が変わる
貸付けが真偽不明なら、通常は貸金返還請求をするAが不利益を負います。一方、貸付けや返還時期が認められ、Bが「既に返した」と弁済を主張する場合には、通常、弁済の事実の証明責任はBにあります。原告か被告かという肩書だけで結論を出さないことが大切です。
自由心証主義との役割分担
自由心証主義は、裁判所が証拠などをどう評価して事実を認定するかという問題です。証明責任は、その評価を尽くしても真偽不明が残った場合の処理を担います。相手方の提出した証拠によって自分に有利な事実が認定されることもあり、自分で出した証拠だけを使う制度ではありません。
根拠条文と確認日
法令適用基準日・確認日:2026年10月22日。下記の根拠条文を基にした資格学習用の一般的解説です。事例と確認問題はLavaLexのオリジナルです。
よくある質問
証明責任を負う側は、必ず自分で証拠を出さなければ負けますか。
相手方の証拠や口頭弁論の全趣旨も事実認定の資料になり得ます。最後に必要な事実が認定できるかが問題です。