釈明は当事者の主張や立証を明瞭にする裁判所の働き掛けです。訴訟の公正な整理に役立つ一方、一方当事者に代わって請求や事実を作ることとは区別しなければなりません。
制度の仕組みと検討する要件
民訴法149条は、裁判長が事実上・法律上の事項について問いを発し、立証を促すことを認めます。主張が矛盾する、請求の根拠が判然としない、重要な点が誤解されているといった場面で、当事者の意思や争点を明らかにする役割があります。当事者から必要な発問を求めることもできます。
裁判所は法律を適用しますが、当事者が全く想定せず攻撃防御の機会もなかった観点で判断すれば不意打ちの問題が生じます。他方で、すべての法的構成や証拠方法を漏れなく示す一般的義務があるという理解も適切ではありません。審理の経過、当事者の主張、争点の重要性、釈明による手続への影響を具体的に検討します。
判断の順序
- どの主張又は証拠の意味が不明瞭か特定する。
- 既に提出された訴訟資料を明らかにする働き掛けか確認する。
- 相手方の反論機会と不意打ちの有無を検討する。
事例へのあてはめ
原告が「預けた金を返してほしい」と述べながら、貸金なのか委任に伴う返還なのか曖昧な場合、裁判所は合意内容や返還を求める根拠について問い掛けられます。期日外の釈明が攻撃防御方法の重要な変更を生じ得る事項に及んだときは、その内容を相手方へ通知する149条4項にも注意します。
混同しやすい点
釈明は弁論主義をなくす制度ではありません。裁判所が主張されていない主要事実を自ら補って判決の基礎にすることと、当事者に説明を求めることを分けます。
確認問題
解答・解説:そのような場合は149条4項により内容を相手方へ通知する必要があります。相手方が争点の変化を知らずに反論の機会を失うことを防ぐためで、非公開の助言として処理できません。
根拠となる一次資料
よくある質問
裁判官が期日外に一方当事者へ重要な主張変更につながる釈明をした場合、相手方へ知らせなくてよいですか。
そのような場合は149条4項により内容を相手方へ通知する必要があります。相手方が争点の変化を知らずに反論の機会を失うことを防ぐためで、非公開の助言として処理できません。