債務不履行の基本
債務不履行を考える前に、そもそも債務者が何を、いつ、どの程度行う義務を負ったかを確定します。契約書の文言だけでなく、契約の性質や取引上の社会通念も手掛かりです。支払期限が来たのに払わない履行遅滞、履行できなくなった履行不能、内容が不十分な履行などを、救済との関係で整理します。
具体例で考える
AがBに結婚式用の花を当日午前中までに納品するよう依頼したのに、Bが翌日に届けたとします。花を届ければどの時点でも同じという契約ではなく、時期が契約目的にとって重要です。Aは義務の内容と不履行を示した上で、代替手配費用の賠償や解除の可否を検討します。
判断するときの順序
- 契約等から生じる債務の内容・期限を確定し、現実の履行と比較する。
- 求める救済を分ける。履行請求では履行不能の有無、損害賠償では415条、解除では541条以下を確認する。
- 損害賠償では損害と因果関係、賠償範囲を検討し、帰責事由がないとの免責が認められるかを判断する。
例外・関連制度との区別
民法415条の損害賠償は、不履行が契約その他の債務発生原因と取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるときには認められません。一方、現行法の解除は債務者の帰責事由を一般的要件としていません。両者を同じ要件で処理しないことが重要です。
確認問題
解答・解説:誤りです。415条の賠償には免責の問題がありますが、解除は帰責事由がないという理由だけで一律に否定されません。541条・542条等の要件を確認します。
よくある質問
契約違反があれば、主張した損害はすべて賠償されますか。
当然には認められません。損害の発生・因果関係に加えて、416条の賠償範囲などを検討します。