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履行不能と帰責事由|履行請求・賠償・解除の区別

履行できなくなったこと、損害賠償責任を負うこと、契約を解除できることは、それぞれ要件が異なります。不能の判断と帰責事由の判断を分け、求める救済から条文を選びます。

更新日: 2026年10月25日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

履行できなくなったこと、損害賠償責任を負うこと、契約を解除できることは、それぞれ要件が異なります。不能の判断と帰責事由の判断を分け、求める救済から条文を選びます。

到達目標

  • ✓契約内容から履行の対象と方法を確定する。
  • ✓社会通念上の不能と、履行請求の可否を判断する。
  • ✓損害賠償・解除・反対給付をそれぞれの条文で検討する。

ひっかけポイント

  • !履行が遅れているだけの場合と、将来も履行できない場合を区別します。費用が増えたという事情だけで不能とせず、給付内容・契約目的・取引上の社会通念から説明します。帰責事由は不能そのものの定義ではありません。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

履行できなくなったこと、損害賠償責任を負うこと、契約を解除できることは、それぞれ要件が異なります。不能の判断と帰責事由の判断を分け、求める救済から条文を選びます。

制度の仕組みと検討する要件

412条の2第1項は、債務の履行が契約その他の債務発生原因と取引上の社会通念に照らして不能である場合、債権者が履行を請求できないとします。物理的に絶対不可能な場合だけでなく、契約の内容と社会通念から履行を求められるかを判断します。

履行不能による損害賠償は415条で検討します。契約その他の債務発生原因と取引上の社会通念に照らし、債務者の責めに帰することのできない事由によるときは、同条ただし書の免責が問題になります。履行請求ができないという結論から、賠償責任まで自動的に肯定しないようにします。

契約成立時にすでに不能であった場合も、412条の2第2項は415条による損害賠償を妨げないとしています。解除は541条・542条など、反対給付の扱いは536条というように別々に確認します。現行法の解除に、債務者の帰責事由が常に必要だという旧来の説明を持ち込まないことも重要です。

判断の順序

  1. 契約内容から履行の対象と方法を確定する。
  2. 社会通念上の不能と、履行請求の可否を判断する。
  3. 損害賠償・解除・反対給付をそれぞれの条文で検討する。

事例へのあてはめ

AがBへ特定の絵画を売った後、引渡し前にその絵画が焼失したとします。まず代替品での履行を予定した契約なのかを確認し、特定物の引渡しが不能かを判断します。火災が売主Aの不注意によるのか、契約上Aがどの危険を引き受けていたのかは、Aの損害賠償責任に関わります。買主Bが代金支払を拒めるか、解除できるかも分けて検討します。

混同しやすい点

履行が遅れているだけの場合と、将来も履行できない場合を区別します。費用が増えたという事情だけで不能とせず、給付内容・契約目的・取引上の社会通念から説明します。帰責事由は不能そのものの定義ではありません。

確認問題

解答・解説:履行が社会通念上不能なら、412条の2第1項により履行を請求できません。債務者に責任がないことは、主に415条の損害賠償の免責などに関わり、不能な給付の履行請求を可能にする事情ではありません。

根拠となる一次資料

よくある質問

債務者に責任がない原因で特定物が滅失したとき、債権者はその物の引渡しを請求し続けられますか。

履行が社会通念上不能なら、412条の2第1項により履行を請求できません。債務者に責任がないことは、主に415条の損害賠償の免責などに関わり、不能な給付の履行請求を可能にする事情ではありません。

答案・記述式での使い方

契約内容と社会通念に照らして給付が不能かを先に判断します。その後、415条による賠償と解除・反対給付を各条文の要件に即して論じます。

次にやること

この論点は単独で暗記するより、条文・判例・関連論点とつなげて読むと定着しやすくなります。