公共の福祉は、公益という言葉だけで人権制約を正当化するための根拠ではありません。守ろうとする利益、制約の内容、必要性、代わりの手段を具体的に検討する必要があります。
制度と判断の出発点
憲法12条・13条は公共の福祉に言及しますが、制約の可否は権利の性質や規制の仕組みに応じて判断します。表現、職業、財産などの違いを無視し、公共の福祉に反するかを一段階で判断すると、何が比較されているのかが曖昧になります。
まず誰のどの利益を守る規制かを特定します。人の生命・身体を守るためでも、手段が目的に役立つか、必要以上に広く自由を制限していないかは別に検討します。薬局の距離制限事件のように、目的の重要性だけでは規制手段の合理性が説明できない場合があります。
事例で確認する順番
- 制約される権利と、規制によって保護する利益を具体的に示す。
- 規制の対象・範囲・強度と、目的との関係を検討する。
- 代替手段や例外の有無も考え、必要性に対応した結論を書く。
具体例で考える
公共施設での集会を安全確保のために拒否する場合、安全という目的だけでは足りません。どのような危険が、どの事実から予測できるか、警備等の手段では対処できないかを示します。一般的な不安と、具体的な危険を同じ重さで扱わないようにします。
区別しておきたい点
権利の濫用の禁止と、人権制約の合憲性審査も同じではありません。「公共の福祉のためだから合憲」という循環した説明を避け、制約を支える事実と法的な評価を結び付けます。
確認問題
解答・解説:許されるとは限りません。目的の重要性を認めても、手段の適合性、必要性、制約の広さ等を検討します。目的と手段の審査を分けることで、結論の根拠が明確になります。
根拠条文・判例
よくある質問
生命・身体の保護が目的なら、どのような人権制約も許されますか。
許されるとは限りません。目的の重要性を認めても、手段の適合性、必要性、制約の広さ等を検討します。目的と手段の審査を分けることで、結論の根拠が明確になります。