労働基本権は、団体をつくる権利、労働条件を交渉する権利、団体行動を行う権利に分けて理解します。公務員では職種や法制度に応じた制限と、それを補う仕組みを確認します。
保障の内容と条文のつながり
憲法28条は、勤労者の団結権、団体交渉権、その他の団体行動権を保障します。労働条件について使用者と対等な立場で交渉するため、個人の契約の自由だけでは足りない部分を集団的な活動で支える制度です。団体を結成できることと、あらゆる要求のために業務を停止できることは異なります。
公務員にも勤労者としての側面がありますが、勤務条件を法令・予算で決める仕組みや職務の公共性に応じた制限が問題になります。全農林警職法事件の最高裁昭和48年4月25日判決は、公務員の労働基本権を一律に否定するのではなく、その地位・職務と制限の必要性、代償措置等を踏まえて当時の国家公務員法の争議行為規制を合憲としました。
現行国家公務員法98条2項は、適用対象となる職員の同盟罷業・怠業等を禁止します。一方、職員団体に関する制度も置かれています。公務員の区分、適用法、団結・交渉・争議のどれが制限されるかを確かめ、民間労働者や別の職種の公務員へ同じ結論を無条件に広げません。
制限の合憲性と、個別行為が禁止の対象に当たるか、懲戒・刑事責任が生じるかは順に検討します。人事院等の代償措置を論じる場合も、制度名を挙げるだけでなく、勤務条件の保障とどのようにつながるかを説明します。
事例を検討する順番
- 労働者の区分と適用される法律を特定する。
- 団結・団体交渉・団体行動のどの権利の制限かを分ける。
- 公共性・勤務条件の決定方法・代償措置と個別の制裁を検討する。
具体例に当てはめる
国家公務員法の適用を受ける職員Aが、職員団体への加入を求める場面と、勤務時間中のストライキを行う場面を比べます。争議行為の禁止があるからといって、職員団体をつくる行為も当然に全面禁止となるわけではありません。それぞれの規定と職種の例外を確認します。
混同しやすい点
「全体の奉仕者だから人権がない」という説明は避けます。他方、公務員も勤労者だから民間と同じ争議行為がすべて認められるともいえません。保障の出発点と制限の根拠を分けます。
確認問題
解答・解説:当然には否定されません。権利の種類、職種、適用法の規律が異なります。争議行為の禁止から他の権利の全面否定を導かず、各制度を個別に確認します。
根拠となる一次資料
よくある質問
公務員に争議行為の禁止があるなら、団結権や団体交渉権もすべての職種で当然に全面否定されますか。
当然には否定されません。権利の種類、職種、適用法の規律が異なります。争議行為の禁止から他の権利の全面否定を導かず、各制度を個別に確認します。