話さないという選択を保障する
刑事手続では、捜査機関や裁判所と本人との力の差が大きくなります。そこで憲法38条1項は、自己に不利益な供述の強要を禁止しています。刑事訴訟法198条2項は被疑者の取調べ前に供述を拒める旨の告知を求め、311条1項は被告人が終始黙秘したり、個々の質問への供述を拒んだりできるとしています。
一部だけ答える場合もある
被告人が職業については答え、事件当日の行動については答えない場合も、個別の質問に対する供述拒否として整理できます。すべての質問に答えなければ権利を使ったことにならない、という制度ではありません。黙秘したことと、既に述べた説明に矛盾があるかどうかの評価も分ける必要があります。
検察官の立証責任は移らない
刑事裁判で有罪を認めるための立証責任は検察官にあります。被告人が説明しなかったというだけで、犯罪事実が証明されたことにはできません。証拠による立証を、本人に無罪の説明を要求することで置き換えない点が重要です。黙秘を選んだこと自体を、権利行使への制裁として不利益に扱うことも問題になります。
供述・証人・身体的証拠を分ける
証人には宣誓や証言義務をめぐる別の制度があり、自己や一定の近親者が刑事訴追等を受けるおそれのある証言には証言拒絶の規定があります。また、指紋や血液などの身体的証拠の取得が適法かは、令状や身体への侵襲などを別に検討します。黙秘権から、あらゆる捜査協力の拒否が当然に導かれるわけではありません。
根拠条文と確認日
法令適用基準日・確認日:2026年10月22日。下記の根拠条文を基にした資格学習用の一般的解説です。事例と確認問題はLavaLexのオリジナルです。
よくある質問
黙秘権は虚偽の供述をする権利ですか。
供述を拒む権利です。虚偽の説明をした場合の評価や、他人への虚偽告訴などの問題とは区別します。