ある事件で逮捕・勾留した人を別の事件でも調べる場合、拘束の根拠事件と取調べの対象を分けて検討します。余罪の質問が出たことだけでも、形式上の令状があることだけでも結論は決まりません。
制度の仕組みと検討する要件
逮捕・勾留は特定の被疑事実と法定要件に基づく身体拘束です。刑訴法199条、60条・207条等に照らし、令状に示された事件について嫌疑と拘束の必要性があるかを確認します。捜査機関が本当に調べたい事件が別にある場合でも、拘束の根拠となった事件の要件を省略することはできません。
余罪取調べの検討では、別件についての捜査実態、本件の取調べの比重、拘束の目的・経緯、期間、被疑者の権利への影響などを具体的に整理します。198条の供述拒否権と黙秘権告知、接見交通権等も確認し、拘束の適法性と自白の任意性・証拠能力を一つの結論にまとめないようにします。
判断の順序
- 拘束の根拠事件と実際の取調べ対象を時系列で区別する。
- 根拠事件の嫌疑・拘束要件と捜査目的・実態を調べる。
- 余罪取調べの方法、権利保障、自白の証拠能力を個別に検討する。
事例へのあてはめ
軽いA事件で逮捕した直後からA事件をほとんど調べず、長時間にわたり重大なB事件の自白を求めていた例では、A事件の嫌疑・拘束必要性、捜査の実態、B事件についての手続の潜脱が問題になります。一方、A事件の適法な捜査中にB事件への質問が出たというだけで、直ちにすべて違法となるわけではありません。
混同しやすい点
余罪取調べの許否、逮捕・勾留そのものの適法性、自白の任意性、違法収集証拠排除は、それぞれ要件が異なります。どの手続にどの瑕疵があるかを明示してから、証拠への影響を論じます。
確認問題
解答・解説:検討が必要です。令状の形式的存在だけでなく、根拠事件の拘束要件、実際の捜査目的・内容、権利保障を確認します。余罪の質問があっただけで一律に違法とするのも適切ではありません。
根拠となる一次資料
よくある質問
別件について令状が発付されていれば、拘束中の取調べ内容や拘束目的を検討する必要はありませんか。
検討が必要です。令状の形式的存在だけでなく、根拠事件の拘束要件、実際の捜査目的・内容、権利保障を確認します。余罪の質問があっただけで一律に違法とするのも適切ではありません。