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伝聞例外と供述調書|供述者・作成者・立証趣旨を整理する

供述調書の証拠能力は、「調書だから使える」「伝聞だから使えない」という分類だけでは決まりません。立証趣旨から伝聞該当性を判断し、供述者と作成者に応じた例外の要件を確認します。

更新日: 2026年10月23日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

供述調書の証拠能力は、「調書だから使える」「伝聞だから使えない」という分類だけでは決まりません。立証趣旨から伝聞該当性を判断し、供述者と作成者に応じた例外の要件を確認します。

到達目標

  • ✓誰のどの供述を、何の事実を立証するために使うかを示す。
  • ✓供述書・録取書等の種類と作成主体に応じ、適用する条項を選ぶ。
  • ✓形式・供述不能・信用性等の各要件と、同意等による別の経路を分けて判断する。

ひっかけポイント

  • !326条の同意による証拠能力と、321条等の例外要件を満たすことは別の経路です。また、328条の信用性を争うための証拠を、犯罪事実の実質的な証明へそのまま転用しないようにします。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

供述調書の証拠能力は、「調書だから使える」「伝聞だから使えない」という分類だけでは決まりません。立証趣旨から伝聞該当性を判断し、供述者と作成者に応じた例外の要件を確認します。

制度と判断の出発点

320条の伝聞法則は、公判外供述を内容の真実性を証明するために使う場面等を規律します。321条は被告人以外の者の供述書・供述録取書等、322条は被告人の供述書・供述録取書等を扱うなど、証拠の種類で要件が異なります。供述者と取調官を混同しないことが出発点です。

検察官面前調書でも、書かれているという理由だけで証拠能力が認められるわけではありません。供述不能や公判供述との相反、特に信用すべき状況等、該当する条文の分岐を確認します。被告人以外の者の一般的な供述録取書では、不可欠性等が問題になる場面もあり、同じ要件のセットをすべての調書へ当てはめません。

事例で確認する順番

  1. 誰のどの供述を、何の事実を立証するために使うかを示す。
  2. 供述書・録取書等の種類と作成主体に応じ、適用する条項を選ぶ。
  3. 形式・供述不能・信用性等の各要件と、同意等による別の経路を分けて判断する。

具体例で考える

目撃者が警察と検察で述べた内容を証明に使う場面を考えます。同じ人の供述でも、調書の作成主体と公判で証言できるかにより検討する条項が変わります。内容の真実性ではなく、ある発言があったこと自体を立証する場合には、立証趣旨から検討を始めます。

区別しておきたい点

326条の同意による証拠能力と、321条等の例外要件を満たすことは別の経路です。また、328条の信用性を争うための証拠を、犯罪事実の実質的な証明へそのまま転用しないようにします。

確認問題

解答・解説:誰の供述か、誰がどの形式で作成した資料か、どの事実を証明するために使うかです。その後、伝聞該当性と該当する例外条項の要件を順に検討します。

根拠条文・判例

よくある質問

目撃者の供述調書を証拠にしたい場合、条文を選ぶ前に確認する三つの事項は何ですか。

誰の供述か、誰がどの形式で作成した資料か、どの事実を証明するために使うかです。その後、伝聞該当性と該当する例外条項の要件を順に検討します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

供述調書の伝聞例外は、原供述者が被告人か、それ以外か、誰の面前の供述かで条文を選びます。供述不能、相反供述、不可欠性、特信情況を同じ条件にまとめないことが重要です。

  1. 被告人以外の供述書・供述録取書は、321条1項の形式と各号の条件を確認する。
  2. 裁判官面前調書は同項1号、検察官面前調書は2号、警察官面前調書等は3号に分ける。2号前段の供述不能と、後段の相反・実質的相違を区別する。
  3. 3号では供述不能に加え不可欠性と特信情況が必要。検察官面前調書の2号後段は、法廷供述より前の供述を信用すべき特別の情況を検討する。
  4. 被告人の供述は322条、法廷での伝聞供述は324条、公文書・業務文書等は323条、証拠同意は326条の相当性まで確認する。
効果
要件を満たして証拠能力が認められても、その内容をどこまで信用できるかは別途判断します。調書の作成者の肩書だけでは、各要件を満たしたことになりません。
例外・注意点
321条3項の検証調書と4項の鑑定書には、作成者等の証人尋問と真正作成の供述が必要です。実況見分調書や鑑定書に他人の供述が含まれる場合は、その部分の伝聞を別に検討します。
321条1項2号と3号との比較
検察官面前調書の2号は供述不能又は相反・実質的相違を定め、後段には比較して前の供述を信用すべき情況が必要です。警察官面前調書等の3号は、法廷で話が変わっただけでは足りず、供述不能・不可欠性・特信情況が必要です。

事例で考える

証人Cは公判に出廷し、警察官に話した内容を否定した。Cが署名した警察官面前調書について、検察官は「法廷供述と食い違ったので321条1項3号で使える」と主張した。証拠同意はない。

食い違いだけで、3号による採用が認められるか。

答えと理由を見る

認められません。3号は供述不能を要件とするため、出廷して供述するCについて、相反したことだけでは足りません。

相反供述を独立の要件として定める2号の検察官面前調書と、3号の警察官面前調書を混同しています。3号ではさらに不可欠性と特信情況も必要です。

自分の言葉で説明する

検察官面前調書について、証人が供述不能である場合と、出廷して供述を変えた場合に、同じ特信情況を一律に要求してよいか。

説明例を見る

同じには扱いません。321条1項2号前段は列挙事由による供述不能、後段は相反・実質的に異なる供述と、法廷供述より前の供述を信用すべき特別の情況を問題にします。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
警察官面前調書を、証人の法廷供述との食い違いだけで証拠にできるか。
判断の基準
321条1項3号では、供述不能、犯罪事実の存否の証明への不可欠性、特信情況を要する。法廷供述との相反だけを理由とする類型は同号にない。
事実へのあてはめ
Cは公判で供述しており、示された事情は警察での供述との食い違いだけである。供述不能の要件が示されていない。
結論
食い違いのみを根拠とする3号の採用は認められない。弾劾目的等の別の用途は別途検討する。

覚えておきたい問い

被告人以外の裁判官面前調書と検察官面前調書は、どの条文で検討するか。

答えを確かめる

前者は321条1項1号、後者は2号です。検面調書の2号後段では、相反・実質的相違と、法廷供述より前の供述を信用すべき特別の情況を検討します。

保存した内容を見る

警察官面前調書は、証人が法廷で話を変えただけで321条1項3号を満たすか。

答えを確かめる

満たしません。3号には列挙事由による供述不能に加え、証明への不可欠性と、特に信用すべき情況が必要です。

保存した内容を見る

公文書・業務文書の伝聞例外は、どこから検討するか。

答えを確かめる

323条各号です。職務上証明できる事実の公務員作成書面、通常の業務過程で作成された書面等、実際の作成目的・過程に即して類型を判断します。

保存した内容を見る

検察官・被告人の証拠同意があれば、裁判所は必ず採用するか。

答えを確かめる

必ずではありません。326条は、作成・供述時の情況を考慮して裁判所が相当と認めることも要件としています。任意性等の別の制限も残ります。

保存した内容を見る

Bが法廷でAの公判外供述を伝えるとき、Aが被告人の場合とそれ以外で準用条文は同じか。

答えを確かめる

異なります。被告人の供述を内容とする場合は324条1項による322条の準用、それ以外の者の供述は324条2項による321条1項3号の準用を検討します。再伝聞は各供述段階の例外を確認します。

保存した内容を見る

鑑定書は鑑定人の署名があれば、常に321条4項で証拠にできるか。

答えを確かめる

できません。3項と同様に、鑑定人が公判期日に証人として尋問を受け、真正に作成したことを供述する等の要件を満たす必要があります。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

形式・供述不能・信用性等の各要件と、同意等による別の経路を分けて判断する。

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