処分権主義は、訴訟を始めるか、何についてどこまで判決を求めるかを当事者に委ねる原則です。民訴法246条を中心に、請求額・給付内容と裁判所の法律判断を区別します。
制度の仕組みと検討する要件
民訴法246条は当事者が申し立てていない事項について判決することを禁じます。給付請求の対象や範囲を超えて認容すると、被告が準備しなかった不利益を受け、原告自身が求めていない救済を与えることにもなるからです。請求額の一部認容は通常、請求範囲内ですが、質的に異なる給付を命じてよいかは別に検討します。
処分権主義が対象とするのは主として審判対象と手続の開始・終了です。どの主要事実を判決の基礎にするかという弁論主義、証拠から事実を認定する自由心証主義と役割が異なります。また、裁判所が当事者の述べた条文と異なる法規を適用することが、直ちに申立事項を超えることにはなりません。
判断の順序
- 請求の趣旨から求める給付・額・対象を確定する。
- 予定する判決が量的又は質的に請求を超えるか比較する。
- 法律構成の変更や一部認容と、審判対象の変更を区別する。
事例へのあてはめ
原告が売買代金100万円を請求している事件で、裁判所が証拠から120万円の債権を認めても、請求を拡張しないまま120万円の支払を命じることはできません。80万円と認定して80万円の限度で認容することは、通常、求めた給付の範囲内です。請求全体の趣旨や付帯請求の有無も確認します。
混同しやすい点
「裁判所は当事者が引用した条文しか使えない」という意味ではありません。法の適用と、どの権利をどこまで裁判するかの範囲設定を混同しないことが必要です。
確認問題
解答・解説:通常は違反しません。70万円の一部認容は100万円という請求範囲に含まれます。請求と別の種類の給付を命じる場合や、請求額を超える認容とは区別します。
根拠となる一次資料
よくある質問
原告が100万円を求めた事件で、裁判所が同じ請求権について70万円を認めることは246条違反ですか。
通常は違反しません。70万円の一部認容は100万円という請求範囲に含まれます。請求と別の種類の給付を命じる場合や、請求額を超える認容とは区別します。