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代表取締役とは?代表権と内部的な制限

代表取締役は株式会社を対外的に代表します。社内で設けた代表権の制限と、法律上必要な決定・承認手続は分けて検討します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

代表取締役は株式会社を対外的に代表します。社内で設けた代表権の制限と、法律上必要な決定・承認手続は分けて検討します。

到達目標

  • ✓代表権と内部的な決定権を区別する
  • ✓代表権制限と第三者保護を説明する

ひっかけポイント

  • !取締役なら全員が常に単独で会社を代表できるとする。
  • !内部的制限の問題と法定の承認欠缺を区別しない。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

代表取締役の基本

会社は自然人のように自分で署名できないため、代表機関を通じて契約や訴訟等を行います。会社法349条は取締役の代表に関する原則を定め、代表取締役には会社の業務に関する裁判上・裁判外の行為をする権限を認めます。取締役会設置会社では、取締役会による代表取締役の選定を確認します。

具体例で考える

代表取締役Aに対し、会社が社内規程で「100万円を超える契約は社長室の承認を要する」と定めたとします。Aがこの制限に反して取引しても、善意の相手方に内部制限を当然に対抗できるわけではありません。社内の責任追及と、相手方との契約の効力を分ける必要があります。

判断するときの順序

  1. 取締役会の有無と代表取締役の選定を確認し、誰に代表権があるかを特定する。
  2. 代表者がした行為の内容を把握し、代表権の内部的制限か、法律上別途要求される手続の問題かを分ける。
  3. 相手方の認識など対外的効力の要件と、代表者の会社に対する責任を別々に検討する。

例外・関連制度との区別

349条5項は代表権の制限を善意の第三者に対抗できないとします。ただし、重要財産の処分について取締役会決議がない場面や、利益相反取引の承認を欠く場面を、内部制限の一言だけで一律に処理するのは不十分です。また、代表権のない取締役に付した名称が問題となる354条の表見代表取締役も別制度です。

確認問題

解答・解説:誤りです。349条5項により代表権の制限を善意の第三者に対抗できません。法律上の別の承認等が問題なら、その規律も確認します。

よくある質問

社長という肩書があれば必ず代表取締役ですか。

肩書だけでは確定できません。実際の選定と代表権を確認し、代表権がない場合には354条等の第三者保護が問題となります。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

代表取締役には会社の業務に関する包括的な代表権があります。社内の意思決定や権限の制限と、外部の相手方との関係で会社が拘束されるかは、別の問題として整理します。

  1. 誰に法的な代表権があるかを確認する。
  2. 代表権の範囲と、社内の制限の内容を分ける。
  3. 相手方の善意、会社が付した名称、加害行為との関係を確認する。
効果
349条5項は代表権に加えた制限を善意の第三者に対抗できないとします。代表取締役が複数いることだけで、各人の代表権が当然に共同代表となるわけではありません。
例外・注意点
実際の代表権がない取締役でも、会社が代表権があると認められる名称を付した場合には354条の表見代表取締役を検討します。職務上の加害では会社自身の350条責任も別に確認します。
業務執行の決定権限との比較
会社内部で取引を行うと決める権限と、外部に会社を代表して意思表示をする権限は区別されます。内部手続の問題を見付けた後も、第三者への対抗等の検討が必要です。

事例で考える

X社の社内規程は、代表取締役Aが単独で締結できる契約を500万円までに制限しています。Aはその範囲を超える契約をBと締結しました。Bはこの制限を知りませんでした。他の瑕疵はないものとします。

Xは社内の金額制限を理由に、Bへその制限を対抗できますか。

答えと理由を見る

349条5項により、善意のBにその内部的な制限を対抗することはできません。

まずAには代表取締役としての代表権があります。社内の金額制限は代表権に加えた制限であり、Bはその存在を知らないので善意です。内部で制限違反が問題となることと、Bにその制限を主張できるかを分けて結論を示します。

自分の言葉で説明する

業務執行の決定権限との違いを、自分の言葉で説明してください。

説明例を見る

会社内部で取引を行うと決める権限と、外部に会社を代表して意思表示をする権限は区別されます。内部手続の問題を見付けた後も、第三者への対抗等の検討が必要です。 実際の代表権がない取締役でも、会社が代表権があると認められる名称を付した場合には354条の表見代表取締役を検討します。職務上の加害では会社自身の350条責任も別に確認します。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
Xは社内の金額制限を理由に、Bへその制限を対抗できますか。
判断の基準
代表取締役には会社の業務に関する包括的な代表権があります。社内の意思決定や権限の制限と、外部の相手方との関係で会社が拘束されるかは、別の問題として整理します。
事実へのあてはめ
まずAには代表取締役としての代表権があります。社内の金額制限は代表権に加えた制限であり、Bはその存在を知らないので善意です。内部で制限違反が問題となることと、Bにその制限を主張できるかを分けて結論を示します。
結論
349条5項により、善意のBにその内部的な制限を対抗することはできません。

覚えておきたい問い

代表取締役の代表権には裁判上の行為も含まれますか。

答えを確かめる

349条4項は代表取締役に会社の業務に関する包括的な代表権を認める。訴訟上の行為か契約等の裁判外の行為かで、当然に代表権がなくなるわけではない。内部の業務執行の決定権限とは区別する。 349条4項は裁判上と裁判外の両方の行為を代表権の範囲に含める。個別の利益相反や訴訟代表の特則が問題となることはあるが、訴訟上の行為一般を条文の範囲外とする説明は誤りである。

保存した内容を見る

代表権の内部的制限を善意の第三者に対抗できますか。

答えを確かめる

内部規程の存在だけで善意の相手方に制限を対抗できるとすると、349条5項に反する。同項は善意の第三者を保護するため、規程の有無と相手方の認識を別々に検討する必要がある。 349条5項は代表権に加えた制限を善意の第三者に対抗できないと定める。社内でどの範囲の決裁を認めたかという問題と、外部の善意の相手方にその制限を主張できるかという問題を分ける。

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代表取締役が複数なら常に共同署名が必要ですか。

答えを確かめる

349条は複数の代表取締役がいることだけを理由に共同代表を要求する仕組みを採っていない。代表者が複数なら全員の署名が常に必要だと考えず、各代表取締役の代表権と個別の制限の扱いを確認する。 代表取締役が2人いることは、法定の共同代表を意味しない。各代表取締役の包括的な代表権が出発点であり、会社が設ける内部的な権限制限と善意の第三者への対抗の問題は別途検討する。

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354条の表見代表取締役はどのような場面で問題になりますか。

答えを確かめる

354条は、会社が代表取締役以外の取締役に代表権があると認められる名称を付した場合に、善意の第三者を保護する。実際の代表権の有無だけで終えず、会社の付した名称と第三者の認識を確認する。 354条は善意の第三者に対する責任を定める。代表権がないと知っていた者まで、同条の文言上当然に保護されるわけではない。会社による名称の付与と第三者の善意という要件を分けて確認する。

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代表者の加害行為について、350条と429条は誰の責任を定めますか。

答えを確かめる

350条は代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害について、株式会社の賠償責任を定める。代表者個人の責任を検討することとは別に、会社の責任の根拠となる。 両条は責任主体と要件が異なる。350条により会社の責任を検討することと、役員等自身に429条1項の要件があるかを検討することを分ける。片方の条文だけで他方の要件を省略しない。

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答案・記述式での使い方

答案では会社内部の決定権と、会社を外部で代表する権限を区別します。まず行為者の地位を確定し、どの制限・手続に違反したかを特定してから、第三者保護へ進みます。

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