制度の役割と対象
証拠保全は、あらかじめ証拠調べをしなければ将来その証拠を使用することが困難となる事情がある場合に、先に証拠調べを行う制度です。民事訴訟法234条以下を確認します。財産を凍結する仮差押えや、相手の保有文書の提出を命ずる制度とは目的が異なります。
判断の手順
- どの証拠でどの事実を証明したいかを特定する。
- 将来の使用が困難となる具体的事情を示す。
- 訴え提起前後に応じた管轄と申立事項を確認する。
- 実施する証拠調べと、その結果の本案での評価を分ける。
独自設例
【学習用設例】建物の欠陥を巡る訴訟を予定していますが、建物は近日中に解体されます。Aは、解体前の状態を証拠として残したいと考えています。
当てはめと結論
解体で現状を調べられなくなる事情は、234条の必要性を検討する重要な事実です。対象箇所、証明したい欠陥、解体予定等を具体化し、適切な証拠方法を考えます。証拠保全をしたことだけで欠陥や損害賠償責任が確定するわけではありません。得られた結果の証拠価値や他の資料との関係は、本案の審理で評価されます。
混同しやすい点と限界
相手方の資料を広く探索したいという希望だけで、常に証拠保全が認められるわけではありません。文書提出命令等の要件と、将来の使用困難という保全の必要性を混同しないようにします。
答案での使い方
失われる対象と時期、必要な証拠調べ、管轄・申立てを示します。保全処分一般という言葉で済ませず、財産保全との目的の差を明確にします。
確認問題
解答・解説:いいえ。先に証拠調べを行う制度です。請求の当否や証拠の評価は本案の問題として残ります。