銀行貸出稟議書事件
自己利用文書の要件と内部意思形成
最初に押さえること
事案:銀行から融資を受けて証券取引をした顧客の承継人が、過剰融資等を理由に銀行へ損害賠償を求めました。融資の検討内容を証明するため、貸出稟議書と本部認可書の文書提出命令を申し立て、原審は提出を命じました。銀行が許可抗告した事案です。 争点:内部用の文書が民事訴訟法220条4号の自己利用文書に当たる基準と、当該貸出稟議書等が提出義務の対象となるかが争われました。 判断:最高裁は、内部利用目的で外部開示を予定せず、開示によって所持者の自由な意思形成の阻害等の看過し難い不利益のおそれがある文書は、特段の事情がない限り自己利用文書に当たるとしました。本件の稟議書等について該当性を認め、原決定を破棄して提出命令の申立てを却下しました。 理由:作成目的、内容、所持に至る経緯等を総合して判断します。本件稟議書等は、融資に関する自由な評価や担当者・決裁権者の意見を内部で形成するために作成されたものでした。外部開示により率直な意見表明と銀行の自由な意思形成が妨げられるおそれを踏まえています。
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何が起きたか
銀行から融資を受けて証券取引をした顧客の承継人が、過剰融資等を理由に銀行へ損害賠償を求めました。融資の検討内容を証明するため、貸出稟議書と本部認可書の文書提出命令を申し立て、原審は提出を命じました。銀行が許可抗告した事案です。
争点
内部用の文書が民事訴訟法220条4号の自己利用文書に当たる基準と、当該貸出稟議書等が提出義務の対象となるかが争われました。
裁判所の判断
最高裁は、内部利用目的で外部開示を予定せず、開示によって所持者の自由な意思形成の阻害等の看過し難い不利益のおそれがある文書は、特段の事情がない限り自己利用文書に当たるとしました。本件の稟議書等について該当性を認め、原決定を破棄して提出命令の申立てを却下しました。
裁判所の判断と理由
作成目的、内容、所持に至る経緯等を総合して判断します。本件稟議書等は、融資に関する自由な評価や担当者・決裁権者の意見を内部で形成するために作成されたものでした。外部開示により率直な意見表明と銀行の自由な意思形成が妨げられるおそれを踏まえています。
当てはまる範囲と限界
内部文書という名称だけで全ての提出を拒める判例ではありません。作成目的、外部開示の予定、具体的な不利益、特段の事情を検討します。証拠として有用であることと、提出義務があることも別です。他の提出義務の根拠との関係も、条文と文書の性質に応じて確認します。
現行法との関係
判決当時は220条4号ハの問題でした。現行法では同号ニの自己利用文書の文言と除外の範囲を確認し、旧法の号内番号をそのまま引用しないようにします。
類似事例で考える
文書名ではなく、誰が何の目的で作り、誰への開示が予定され、何の不利益があるかを示します。その上で特段の事情の有無まで検討し、提出義務の根拠を特定します。
確認問題
社内資料と名付けられていれば、常に自己利用文書ですか。
解答・解説:いいえ。目的・内容・開示予定・不利益等を具体的に検討し、特段の事情の有無も確認します。
出典と編集情報
更新日:2026年10月28日 / 資料確認日:2026年10月28日