論点解説
証拠保全と文書提出命令の違い|失われる前に調べるか、提出を求めるか
証拠を確保したいという目的は同じでも、将来調べられなくなる事情と、他人に文書の提出を求める根拠は別です。何の証拠が、いつ、どのように利用できなくなるかから考えます。
証拠を確保したいという目的は同じでも、将来調べられなくなる事情と、他人に文書の提出を求める根拠は別です。何の証拠が、いつ、どのように利用できなくなるかから考えます。
比較表
比較点 | 証拠保全 | 文書提出命令 |
|---|---|---|
中心となる問い | 先に調べなければ後の使用が困難か | 所持者に提出義務があるか |
主な条文 | 234条以下 | 220条以下 |
対象 | 保全が必要な証拠調べ | 特定された文書等の提出 |
注意点 | 財産保全とは異なる | 全ての内部資料を一律に出させない |
使用困難の事情を具体化する
証拠保全では、解体、変状、供述が得られなくなる事情等を示し、先に証拠調べをする必要性を検討します。単に相手が協力しないという事情と、234条の将来の使用困難を同じものとして扱いません。訴え提起前後の申立先も235条等で確認します。
文書の特定と提出義務を検討する
文書提出命令は、文書の表示、趣旨、所持者、証明すべき事実、提出義務の原因を明確にして進めます。220条のどの根拠に当たるかと除外事由が問題です。文書が役立ちそうだというだけで全ての内部資料に提出義務が生じるわけではありません。
二つの制度が接する場合も要件を省略しない
保全の対象となる証拠が文書である場合でも、必要な提出等の手続を具体的に検討します。証拠保全という名称だけで提出義務の制限を迂回できると説明しません。証拠を得た後の評価と本案の勝敗も別です。
独自設例
【学習用設例】Aは建物の欠陥を理由に損害賠償を予定しています。建物は翌月解体予定で、施工会社Bは工事記録を保有しています。
設例の解説
現物の状態は解体で失われるため、対象箇所と証拠方法を特定して証拠保全を検討します。工事記録については、どの文書を誰が持ち、220条等の提出義務があるかを別に確認します。一つの申立てで全資料が自動的に手に入るという結論にはしません。
確認問題
文書を早く見たいという希望だけで、234条の必要性は満たされますか。
解答・解説:いいえ。後にその証拠を使用することが困難となる具体的事情が必要です。提出義務の有無も別に確認します。
参考資料
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