民訴法157条は、故意又は重大な過失による遅い主張・証拠提出が訴訟の完結を遅延させる場合に、その攻撃防御方法を却下できると定めます。遅れた事実だけで結論を出しません。
制度の仕組みと検討する要件
当事者は訴訟の進行状況に応じて適切な時期に攻撃防御方法を提出する必要があります。しかし審理の途中で新たな資料が判明する場合もあり、期日後半に提出されたからといって自動的に排除されるわけではありません。いつ提出できたか、なぜ提出しなかったか、争点整理の経過を確認します。
157条1項では故意又は重大な過失による時機の遅れに加え、その提出により訴訟の完結が遅延することが必要です。既に行った証拠調べから判断でき、新しい審理を要しないなら、遅延要件を慎重に検討します。同条2項は趣旨が不明瞭な攻撃防御方法について必要な釈明をしない場合等も定めており、単なる提出期限違反と整理するのは不十分です。
判断の順序
- 当該主張・証拠を提出すべき段階と現実の提出時期を比較する。
- 遅れについて故意又は重大な過失を具体的事情から検討する。
- 追加審理の必要性と訴訟完結への影響を示す。
事例へのあてはめ
契約書を最初から所持していた当事者が、相手の反論を見てから出すために証拠調べ終了直前まで隠していた例では、故意の遅れが問題となります。それでも、その書面を調べるため新たな証人尋問等が必要か、既存の資料で直ちに判断できるかを見て、訴訟完結の遅延を検討します。
混同しやすい点
却下されるのは原則として遅れて提出した攻撃防御方法であり、訴えそのものを却下する制度ではありません。「主張の却下」と「訴えの却下」を書き分けます。
確認問題
解答・解説:できません。故意・重大な過失による遅れと、訴訟完結の遅延は別の要件です。提出が遅かったという評価だけでなく、実際にどの追加審理が必要となるかを確認します。
根拠となる一次資料
よくある質問
重大な過失で遅れた主張でも、その審理によって訴訟完結が遅れない場合、157条1項で当然に却下できますか。
できません。故意・重大な過失による遅れと、訴訟完結の遅延は別の要件です。提出が遅かったという評価だけでなく、実際にどの追加審理が必要となるかを確認します。