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虚偽表示とは|民法94条の通謀と善意の第三者

相手方と通じて真意と異なる表示をする虚偽表示は、当事者間では無効です。その無効を善意の第三者に対抗できない仕組みと、不実の登記があるだけでは直接適用できないことを整理します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

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30秒でわかる結論

相手方と通じて真意と異なる表示をする虚偽表示は、当事者間では無効です。その無効を善意の第三者に対抗できない仕組みと、不実の登記があるだけでは直接適用できないことを整理します。

到達目標

  • ✓どの法律行為の表示について、当事者間に通謀があったかを特定する。
  • ✓第三者の独立した利害関係と善意を検討し、無効を対抗できるかを分けて答える。
  • ✓具体例について、要件に対応する事実を挙げて結論を説明する。

ひっかけポイント

  • !94条2項の善意と、詐欺取消しにおける善意無過失を混同しないことが大切です。不実の外形があっても通謀虚偽表示そのものがない場合は、直接適用と類推適用の根拠・要件を区別します。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

相手方と通じて真意と異なる表示をする虚偽表示は、当事者間では無効です。その無効を善意の第三者に対抗できない仕組みと、不実の登記があるだけでは直接適用できないことを整理します。

制度の基本と判断の出発点

民法94条1項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効とします。必要なのは表示と真意の不一致だけでなく、その不一致についての相手方との合意です。表示と異なる内心を片方だけが持っていた場合は、まず心裡留保など別の規定を検討します。

94条2項は、当事者が作り出した外形を前提に新たな独立の法律上の利害関係を取得した善意の第三者を保護します。契約当事者の包括承継人が当然にこの第三者になるわけではありません。

事例で確認する順番

  1. どの法律行為の表示について、当事者間に通謀があったかを特定する。
  2. 当事者間では無効となることを確認する。
  3. 第三者の独立した利害関係と善意を検討し、無効を対抗できるかを分けて答える。

具体例で考える

AとBが売買をする意思なく、Aの土地をBに売ったことにして登記を移したとします。A・B間の売買は無効です。Bが事情を知らないCに土地を売却した場合は、Cについて94条2項の保護を検討します。Aが「売買は架空だった」と述べるだけではCへの返還請求が認められるとは限りません。

例外・区別しておくこと

94条2項の善意と、詐欺取消しにおける善意無過失を混同しないことが大切です。不実の外形があっても通謀虚偽表示そのものがない場合は、直接適用と類推適用の根拠・要件を区別します。

確認問題

解答・解説:当然にはなりません。どの表示が仮装され、どの意思について合意があるかを分けます。表示内容の一部が虚偽であることと、売買という法律行為全体を仮装することは同じではありません。

根拠条文・参考資料

よくある質問

実際に売る意思があるAが、税金を少なく見せるため代金額だけを偽ったとき、土地売買全体が当然に通謀虚偽表示になりますか。

当然にはなりません。どの表示が仮装され、どの意思について合意があるかを分けます。表示内容の一部が虚偽であることと、売買という法律行為全体を仮装することは同じではありません。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

相手方と相談して作った見せかけの意思表示は無効となる。しかし、その外観を前提に新たな法律上の利害関係を持った善意の第三者は保護される。

  1. 当事者間に、表示に対応する効果を生じさせない合意がある。
  2. 第三者が、仮装された法律関係を前提に独立した法律上の利害関係を取得した。
  3. その第三者が虚偽表示であることを知らなかった。
効果
当事者間では表示どおりの売買などの効果は生じない。
例外・注意点
94条2項の第三者に無効を対抗するには、その第三者が悪意であることが問題となる。善意の第三者に無過失までは要求されない。
心裡留保・錯誤との比較
通謀があれば虚偽表示。本人だけが真意でないと知れば心裡留保。本人自身が勘違いしていれば錯誤を検討する。

事例で考える

AとBは、Aの絵画をBに売ったように見せる契約書を作ったが、実際には売る意思がなかった。Bは事情を知らないCに絵画を売却した。

A・B間の無効を、そのままCに主張できるか。

答えと理由を見る

Cが94条2項の第三者なら主張できない。

A・Bは通謀して外観を作ったので94条1項により無効となる。Cはその外観を前提に買主となり、虚偽表示を知らないため同条2項の保護を受ける。

自分の言葉で説明する

Bが契約に参加していることと、Cが第三者として保護されることの違いを説明する。

説明例を見る

Bは虚偽表示を共同で作った相手方である。Cについては外観を信頼して独立した利害関係を取得したかを判断する。契約の外にいる人が全員「第三者」になるわけではない。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
AはCに売買の無効を対抗できるか。
判断の基準
通謀虚偽表示は無効だが、その無効は善意の第三者には対抗できない(94条)。
事実へのあてはめ
AとBには仮装の合意があり、Cはそれを知らずに絵画を買い受けた。
結論
Cが同条の第三者に当たる以上、Aは無効を対抗できない。

覚えておきたい問い

通謀虚偽表示の「通謀」とは何か。

答えを確かめる

当事者双方が、表示に対応する効果を生じさせないことを了解し合っていること。片方の内心だけでは足りない。

保存した内容を見る

虚偽表示の第三者保護で確認する主観的要件は何か。

答えを確かめる

虚偽表示であることを知らないという善意。94条2項は無過失までは要求していない。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

「通謀」「虚偽の表示」「第三者の独立した法律上の利害関係」「善意」の事実を分けて記載します。外形の作出・帰責性を論じる類推適用の問題では、94条2項の直接適用で済ませません。

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