Case Brief
二重譲渡と背信的悪意者|登記の欠缺を主張する利益
未登記の買主が長く占有する山林を、高値で売りつける目的で取得した者は、登記がないことを主張できるか。単なる悪意と背信的悪意の違いを学ぶ判例です。
更新日: 2026年10月22日
裁判所
最高裁判所第二小法廷
判決日
1968-08-02
引用
民集22巻8号1571頁
判旨・学習上の位置づけ
事案:先に山林を買い受けた者が長年占有していることを知りながら、登記が未了であることに乗じ、高値で売りつける利益を得る目的で山林を取得し、登記をした者がいました。 争点:この取得者が、民法177条により先の買主の登記の欠缺を主張できる第三者に当たるかが問題となりました。先行譲渡を知るだけの場合と、取引経緯に背信性がある場合を区別する必要があります。 判断:最高裁は、判示の事情の下で背信的悪意者に当たり、先の買主の登記の欠缺を主張する正当な利益のある第三者には当たらないとしました。主観的な認識に加え、不当な利益を得ようとした経緯が重要です。
射程
177条は一般に先行譲渡を知らないことを第三者の要件としていないため、先行譲渡を知っているだけで直ちに排除されるわけではありません。この判例の具体的な背信性を取り出す必要があります。 94条2項や96条3項の善意の第三者保護とは制度が異なります。同じ「第三者」という語でも、対抗要件を主張する正当な利益を問題にする場面か、無効・取消しからの信頼保護かを先に特定します。
根拠条文・参考資料
資料の確認日:2026年10月22日
順番に学ぶ
論点・条文・判例を、つまずきやすい箇所を確かめながら読み進めます。