Law Article
民法1条の解説|公共の福祉・信義則・権利濫用
民法の基本原則を定める1条を、三つの項に分けて読みます。信義誠実の原則と権利濫用禁止を、個別の請求権の要件に代わる抽象論にせず、具体的な行使態様の評価へつなげます。
更新日: 2026年10月25日
条文
民法1条
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。 2権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。 3権利の濫用は、これを許さない。
条文の読み方と具体例
1項は私権と公共の福祉の関係、2項は権利行使・義務履行における信義誠実、3項は権利濫用の禁止を定めます。同じ1条に置かれていても、何を評価する規律かを区別して使います。 信義則は、契約の文言や権利の形式だけでは処理しきれない問題について、当事者の関係、従前の行動、相手方に生じた合理的な信頼などを踏まえて権利義務を評価する一般原則です。「不公平だから」と結論だけを示すのではなく、どの事実から、どのような行動が求められるかを説明します。 権利濫用では、形式上権利が認められても、その目的、行使の態様、権利者の利益と相手方の不利益などから、その行使が許されるかが問題になります。例えば所有権に基づく妨害排除を求める事例でも、まず所有権と妨害を確認し、その後に当該請求の具体的事情を評価します。1条だけを挙げて、最初から所有権の要件を省くものではありません。 個別規定に適用要件や調整の仕組みがあるときは、先にそれを確認します。確認問題:権利証明ができれば行使方法にかかわらず請求は常に認められるか。答え:いいえ。形式的な権利の存在と、3項によって行使が制限されるかは別の判断です。
2026年10月26日にe-Gov掲載条文と照合。旧法下の教材・判例は適用時点を分けて確認します。
根拠条文・参考資料
資料の確認日:2026年10月25日