所有権の円満な実現が妨げられたときは、物の返還、妨害の排除、妨害の予防を求めることが問題となります。侵害の形と相手方の権原を確認し、必要な請求を特定します。
制度と判断の出発点
物権的請求権は、物に対する権利の実現を確保するための請求です。目的物を他人が占有していれば返還、占有の喪失以外の支障があれば妨害排除、将来の侵害のおそれがあれば妨害予防を考えます。請求する措置と現在の支障との対応を具体化します。
所有者であることだけで、あらゆる相手から直ちに返還を受けられるわけではありません。相手方に賃借権や留置権など占有を正当化する根拠があれば、その効力が問題となります。不動産では登記を要する対抗関係かも確認し、権原のない占有者の場合と区別します。
事例で確認する順番
- 請求者の所有権と、現在の占有・妨害の状態を特定する。
- 妨害をしている者、返還を求める相手、必要な措置を示す。
- 相手方の占有権原や対抗関係を検討し、請求の成否を判断する。
具体例で考える
A所有の土地にBが権原なく建物を設けて占有している場合、土地の明渡しと建物収去が問題となります。Bが土地を借りていると述べるなら、賃貸借の成立・終了やAとの対抗関係を確かめます。所有権確認だけでは必要な原状回復が実現しない場合もあります。
区別しておきたい点
損害賠償と物権的請求は要件が同じではありません。過去の損害を賠償させる709条の請求と、現にある妨害を除く請求を分けます。また、抵当権者の保護は所有者の請求と同じ範囲で当然に認められるわけではありません。
確認問題
解答・解説:直ちに求められるとは限りません。賃借権によって占有が正当化されるか、終了したか、所有者へ対抗できるかを検討する必要があります。
根拠条文・判例
よくある質問
所有物を占有する者に有効な賃借権がある場合、所有者は所有権を示すだけで直ちに返還を求められますか。
直ちに求められるとは限りません。賃借権によって占有が正当化されるか、終了したか、所有者へ対抗できるかを検討する必要があります。