本人が同意していれば、どのような侵害も刑法上許されるわけではありません。処分できる法益か、承諾が有効か、行為が承諾の範囲内かを分け、構成要件と違法性への影響を検討します。
制度と判断の出発点
承諾は、犯罪類型によって構成要件の該当性を左右する場合と、該当する行為の違法性が問題となる場合があります。承諾者に法益を処分する権限・判断能力があるか、行為前又は行為時の自由な意思に基づくか、重要な事項を誤解していないかが重要です。
生命や身体の侵害は、財産の処分と同一に扱えません。承諾があっても犯罪が成立する類型や、行為の目的・方法等の評価が必要な場面があります。推定的承諾では、実際の意思表示がないときに本人の意思をどう判断するかが問題となり、行為者に都合のよい推測だけでは足りません。
事例で確認する順番
- 対象法益と犯罪類型から、承諾がどの要件に影響するかを整理する。
- 承諾の主体、時期、自由な意思、範囲を具体的に確認する。
- 承諾がない場合の推定的承諾や他の正当化根拠を分けて検討する。
具体例で考える
競技中の接触や医療上の処置では、単に本人が同意したというだけでなく、どの範囲の行為に同意したか、行為の方法が正当かが問題となります。本人が予想していない危険な方法まで、包括的に承諾したと扱わないようにします。
区別しておきたい点
事後に許したことと、行為時に承諾があったことは別です。また、承諾を得て人を殺した場合には刑法202条の規律があるため、本人の同意があることだけで処罰されないとはいえません。
確認問題
解答・解説:法益の性質と犯罪類型が違うためです。生命については202条のような規定もあり、承諾があることと犯罪が成立しないことを一律に結び付けることはできません。
根拠条文・判例
よくある質問
財産の所有者が処分に同意した場合と、人が自分の殺害に同意した場合を、同じ効果と扱えないのはなぜですか。
法益の性質と犯罪類型が違うためです。生命については202条のような規定もあり、承諾があることと犯罪が成立しないことを一律に結び付けることはできません。