新株予約権は、会社に対して行使することで株式の交付を受けられる権利です。予約権の発行時の対価と、行使時の出資を分け、募集事項の決定権限と既存株主の保護を確認します。
仕組みと条文の読み方
会社法236条は、目的となる株式数、行使に際して出資する財産の価額、行使期間などを権利の内容として定めます。行使できる期間が来ても、権利者は当然に株主になるわけではありません。行使と必要な出資を経て、282条による株主となる時点を確認します。
募集新株予約権については238条で内容・数、払込みを要しない旨又は払込金額、割当日などを決めます。予約権自体を無償で与えることと、株式を得るための行使価額をゼロとすることは別です。上場会社の取締役・執行役の報酬として行使時の払込みを要しない制度には236条3項等の特則があるため、一般の予約権と混ぜません。
募集事項は原則として株主総会の決議で決定し、公開会社では240条による取締役会決議の仕組みを検討します。特に有利な条件での発行では、238条2項・3項等に沿って株主総会の特別決議と理由説明が問題になります。「公開会社だから取締役会で何でも決められる」と処理しないことが大切です。
違法又は著しく不公正な方法による発行で株主が不利益を受けるおそれがあれば、247条の差止めを検討します。経営陣の持株比率を維持する目的などがある場合も、資金調達等の必要性、割当先、条件、手続を具体的に比べます。発行後に効力を争う方法は、差止めとは要件も期間も異なります。
事例を検討する順番
- 予約権の内容と行使条件を特定する。
- 公開会社か、有利発行かを確認して決定権限を選ぶ。
- 発行前の差止めと発行後の争い方を区別する。
具体例に当てはめる
A社が従業員Bに予約権を無償で割り当て、行使価額を1株5,000円、行使期間を翌年から3年間とした場合、Bは割当時に5,000円を払うのではありません。予約権自体の取得は無償でも、原則として行使時に定められた出資を要します。割当時から株主総会で議決権を行使できるとも限りません。
似た制度との違い
募集株式では払込み等と株主になる時点を中心に考えます。新株予約権では、まず将来株式を取得できる権利を取得し、その後の行使を別に扱います。新株予約権付社債には社債権者としての地位もあるため、予約権だけの発行と区別します。
確認問題
解答・解説:なりません。予約権の払込金額と行使に際して出資する財産の価額は別の事項です。行使時払込みを不要とする法定の特則に当たるかも、独立して確認します。
根拠条文
よくある質問
新株予約権を無償で受け取った者は、一般に行使時の出資も不要となるか。
なりません。予約権の払込金額と行使に際して出資する財産の価額は別の事項です。行使時払込みを不要とする法定の特則に当たるかも、独立して確認します。