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新株予約権の発行と行使|権利の内容・募集事項と払込み

新株予約権は、会社に対して行使することで株式の交付を受けられる権利です。予約権の発行時の対価と、行使時の出資を分け、募集事項の決定権限と既存株主の保護を確認します。

更新日: 2026年10月25日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

新株予約権は、会社に対して行使することで株式の交付を受けられる権利です。予約権の発行時の対価と、行使時の出資を分け、募集事項の決定権限と既存株主の保護を確認します。

到達目標

  • ✓予約権の内容と行使条件を特定する。
  • ✓公開会社か、有利発行かを確認して決定権限を選ぶ。
  • ✓発行前の差止めと発行後の争い方を区別する。

ひっかけポイント

  • !募集株式では払込み等と株主になる時点を中心に考えます。新株予約権では、まず将来株式を取得できる権利を取得し、その後の行使を別に扱います。新株予約権付社債には社債権者としての地位もあるため、予約権だけの発行と区別します。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

新株予約権は、会社に対して行使することで株式の交付を受けられる権利です。予約権の発行時の対価と、行使時の出資を分け、募集事項の決定権限と既存株主の保護を確認します。

仕組みと条文の読み方

会社法236条は、目的となる株式数、行使に際して出資する財産の価額、行使期間などを権利の内容として定めます。行使できる期間が来ても、権利者は当然に株主になるわけではありません。行使と必要な出資を経て、282条による株主となる時点を確認します。

募集新株予約権については238条で内容・数、払込みを要しない旨又は払込金額、割当日などを決めます。予約権自体を無償で与えることと、株式を得るための行使価額をゼロとすることは別です。上場会社の取締役・執行役の報酬として行使時の払込みを要しない制度には236条3項等の特則があるため、一般の予約権と混ぜません。

募集事項は原則として株主総会の決議で決定し、公開会社では240条による取締役会決議の仕組みを検討します。特に有利な条件での発行では、238条2項・3項等に沿って株主総会の特別決議と理由説明が問題になります。「公開会社だから取締役会で何でも決められる」と処理しないことが大切です。

違法又は著しく不公正な方法による発行で株主が不利益を受けるおそれがあれば、247条の差止めを検討します。経営陣の持株比率を維持する目的などがある場合も、資金調達等の必要性、割当先、条件、手続を具体的に比べます。発行後に効力を争う方法は、差止めとは要件も期間も異なります。

事例を検討する順番

  1. 予約権の内容と行使条件を特定する。
  2. 公開会社か、有利発行かを確認して決定権限を選ぶ。
  3. 発行前の差止めと発行後の争い方を区別する。

具体例に当てはめる

A社が従業員Bに予約権を無償で割り当て、行使価額を1株5,000円、行使期間を翌年から3年間とした場合、Bは割当時に5,000円を払うのではありません。予約権自体の取得は無償でも、原則として行使時に定められた出資を要します。割当時から株主総会で議決権を行使できるとも限りません。

似た制度との違い

募集株式では払込み等と株主になる時点を中心に考えます。新株予約権では、まず将来株式を取得できる権利を取得し、その後の行使を別に扱います。新株予約権付社債には社債権者としての地位もあるため、予約権だけの発行と区別します。

確認問題

解答・解説:なりません。予約権の払込金額と行使に際して出資する財産の価額は別の事項です。行使時払込みを不要とする法定の特則に当たるかも、独立して確認します。

根拠条文

よくある質問

新株予約権を無償で受け取った者は、一般に行使時の出資も不要となるか。

なりません。予約権の払込金額と行使に際して出資する財産の価額は別の事項です。行使時払込みを不要とする法定の特則に当たるかも、独立して確認します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

新株予約権は、行使により株式の交付を受けられる権利です。予約権を取得する段階と、後に行使して出資する段階を区別すると、金銭の払込みや株主になる時点を整理できます。

  1. 予約権の内容、目的株式、行使期間と出資内容を確認する。
  2. 取得時の払込条件と有利発行の有無から決定手続を確認する。
  3. 行使の方法・出資の履行と、発行の差止め等を検討する。
効果
予約権の取得だけでは、その目的株式の株主にはなりません。取得時の払込金額又は無償である旨と、行使時の出資の価額等は、別の事項として定めます。
例外・注意点
無償の取得条件と行使時の払込みを混同しないことが大切です。公開会社でも特に有利な発行条件には総会の関与を要する場合があり、発行前の差止めには247条を使います。
株式そのものの発行との比較
募集株式では株式を取得しますが、新株予約権の発行では株式の交付を受けられる権利を取得します。募集株式の210条と予約権の247条など、対象に対応する条文を確認します。

事例で考える

XはAに新株予約権を無償で割り当てました。権利の内容には、行使時に一個につき10万円を出資することが定められています。Aは「無償で取得したので、行使時も支払う必要はない」と考えています。

Aの説明は正しいですか。

答えと理由を見る

正しくありません。取得時の無償性と、行使時に定められた出資は別です。

238条の募集事項としての取得時の払込条件と、236条の権利内容としての行使時の出資条件を分けます。設例では行使時に10万円の金銭出資を要するので、取得が無償だったことだけで281条の払込みを省略できません。

自分の言葉で説明する

株式そのものの発行との違いを、自分の言葉で説明してください。

説明例を見る

募集株式では株式を取得しますが、新株予約権の発行では株式の交付を受けられる権利を取得します。募集株式の210条と予約権の247条など、対象に対応する条文を確認します。 無償の取得条件と行使時の払込みを混同しないことが大切です。公開会社でも特に有利な発行条件には総会の関与を要する場合があり、発行前の差止めには247条を使います。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
Aの説明は正しいですか。
判断の基準
新株予約権は、行使により株式の交付を受けられる権利です。予約権を取得する段階と、後に行使して出資する段階を区別すると、金銭の払込みや株主になる時点を整理できます。
事実へのあてはめ
238条の募集事項としての取得時の払込条件と、236条の権利内容としての行使時の出資条件を分けます。設例では行使時に10万円の金銭出資を要するので、取得が無償だったことだけで281条の払込みを省略できません。
結論
正しくありません。取得時の無償性と、行使時に定められた出資は別です。

覚えておきたい問い

新株予約権の取得だけで目的株式の株主になりますか。

答えを確かめる

新株予約権と、その行使によって交付される株式は別の権利である。予約権を取得しただけでは目的株式の株主にはならず、予約権の保有をそのまま株主としての議決権に結び付けることはできない。 2条21号は新株予約権を株式の交付を受けることができる権利として定義する。予約権を取得した時点で既に株式を取得したことになるわけではなく、予約権の取得とその後の行使を区別する。

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取得時の払込金額と行使時の出資は同じものですか。

答えを確かめる

238条1項2号は募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しない場合に、その旨を募集事項とする。取得時の無償性と、行使の際に出資を要するかという予約権の内容は別に確認する。 238条の取得時の払込条件と、236条1項2号の行使時に出資される財産の価額等は別の事項である。取得時の金銭と行使時の出資を同一視せず、それぞれの募集事項・権利内容を確認する。

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公開会社の有利な予約権発行では何を確認しますか。

答えを確かめる

240条1項は238条3項の場合を除外している。会社が公開会社であることだけを理由に、有利発行についての株主総会の関与と取締役の説明義務を省略することはできない。 240条1項は公開会社の取締役会決定の特則から238条3項の場合を除く。無償又は特に有利な払込金額等に関する有利発行では、238条・309条による総会の特別決議と理由説明を検討する。

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行使期間と、行使時の金銭の払込みを説明してください。

答えを確かめる

281条1項は金銭出資の場合に行使する日に出資される財産の価額の全額を払い込むことを原則とする。取得時の払込みの有無とは区別し、行使に必要な出資とその履行時期を確認する。 236条1項4号は新株予約権を行使することができる期間を権利の内容に含める。予約権を保有していることだけで、権利内容に定められた期間を問わず行使できると考えない。行使の手続も別に確認する。

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予約権の発行前の差止めはどの条文で検討しますか。

答えを確かめる

247条は法令・定款違反又は著しく不公正な方法による新株予約権の発行について、不利益のおそれがある株主に差止請求を認める。募集株式発行の210条と対象を区別して用いる。 対象となる権利を先に確かめ、募集株式発行の差止めは210条、新株予約権発行の差止めは247条を用いる。両者には類似する要件があるが、株式と予約権を同一のものとして扱わない。

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答案・記述式での使い方

誰にどの条件で予約権を発行するのかを示し、236条の内容、238条以下の募集決定、有利発行の有無を順に検討します。株主の不利益と発行方法の違法・不公正を事実から述べ、発行前なら247条による救済へつなげます。

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