株式交換・株式移転は完全親子会社関係を作る制度です。株式交付は、他の株式会社を子会社とするため、その株主から株式を譲り受ける制度であり、完全子会社化を必須とする二つの制度と区別します。
仕組みと条文の読み方
株式交換では、既存の会社が他社の発行済株式の全部を取得して完全親会社となります。株式交換契約に必要事項を定め、効力発生日に法定の効果が生じます。親会社となる主体や対価の規律には会社の種類等による違いがあるため、まず両当事会社の形態を確かめます。
株式移転は、一又は二以上の株式会社が新設する株式会社に発行済株式の全部を取得させる制度です。既存会社が親会社になる株式交換と異なり、新会社を完全親会社として設立します。複数社が共同持株会社を設立する形もあり、計画の作成、各社の承認、設立による効力発生を順に確認します。
株式交付では、株式会社が他の株式会社を子会社にするため、その株式を譲り受け、対価として自社株式を交付します。774条の2以下により、取得株式数の下限などを株式交付計画で定めます。下限は子会社となるために必要な数でなければならず、単なる少数持分への投資をすべて株式交付と呼ぶわけではありません。
株式交付は相手会社の株主から申込みを受けて行う仕組みで、相手会社の株式全部を一律に取得することが制度上当然の効果ではありません。親会社側の承認等の手続と、応募する株主の意思を区別します。既に子会社である会社の株式を追加取得する場面と、子会社化のための株式交付も同一には扱いません。
事例を検討する順番
- 既存会社か新設会社か、親会社になる主体を確定する。
- 全株式の取得か、子会社化に必要な株式の取得かを分ける。
- 契約又は計画、株主承認、効力発生の仕組みを選んだ制度に沿って確認する。
具体例に当てはめる
A社がB社の株式60%を、応募したB社株主から取得して新たに子会社とし、対価にA社株式を交付する例では、株式交付の仕組みを検討できます。B社の株式全部を取得する必要はありません。一方、B社を完全子会社とする株式交換では、効力発生日にB社の発行済株式全部をA社が取得する点が異なります。
似た制度との違い
株式交換・移転は完全親子会社関係の形成を目的とし、株式交付は子会社化のための株式取得です。名称に「株式」が共通することから、必要な取得割合、相手会社の承認、効力発生日を同じ表に機械的に当てはめないようにします。
確認問題
解答・解説:必要ありません。子会社化のために他社株式を取得する制度であり、全部取得は必須ではありません。ただし、計画上の下限が子会社となるために必要な数であることなど、株式交付固有の要件を満たす必要があります。
根拠条文
よくある質問
株式交付を利用するには、相手会社の発行済株式を必ず100%取得しなければならないか。
必要ありません。子会社化のために他社株式を取得する制度であり、全部取得は必須ではありません。ただし、計画上の下限が子会社となるために必要な数であることなど、株式交付固有の要件を満たす必要があります。