公法上の当事者訴訟は、公法上の権利義務や地位そのものを争う訴訟です。処分の取消しを求める抗告訴訟との違いを押さえ、実質的当事者訴訟と、法令が当事者間の訴えとして定める形式的当事者訴訟を分けます。
制度の仕組みと要件
行政事件訴訟法4条は、当事者訴訟として二つの類型を定めています。一つは法令の定めにより、当事者間の法律関係を確認・形成する処分等について、その法律関係の当事者の一方を被告とする訴えです。もう一つは、公法上の法律関係に関する確認の訴えなどです。前者を形式的当事者訴訟、後者を実質的当事者訴訟と整理します。
実質的当事者訴訟では、訴訟の目的を具体的な権利・地位・義務として特定します。例えば、公務員の給与請求権や、公法上の地位の確認が問題になり得ます。相手方が国や自治体だから当事者訴訟になるのではなく、争っている法律関係の性質を確認します。私法上の契約代金などの争いであれば、行政機関が相手でも通常の民事訴訟となる場合があります。
確認の訴えを選ぶ場合には、原告の法的地位に現実の不安・危険があるか、それを除くため当該確認が適切かという確認の利益も必要です。制度が違憲・違法だと抽象的に述べるだけでは足りません。一方、行政の説明が処分に当たらない場面でも、具体的な公法上の地位をめぐる争いがあれば、確認訴訟による救済を検討できます。
事例を検討する順序
- 求める救済を、処分の排除か、権利・地位・給付かに分ける。
- 争う法律関係が公法上か、法令が特別の当事者訴訟を定めているかを調べる。
- 確認訴訟なら、具体的な不安・危険と確認の利益を検討する。
具体例で確かめる
自治体の職員Aが、給与規程に基づき支給されるはずの手当を受け取っていないと主張する例では、どの行政処分を取り消すかだけに注目せず、給与請求権に基づく給付の訴えを検討します。反対に、職員の地位を失わせる免職処分が存在し、その効力を争うなら、処分の公定力などを踏まえ取消訴訟との関係を確認する必要があります。
似た制度との違い
当事者訴訟は、取消訴訟の出訴期間を避けるため何でも確認訴訟へ言い換えられる制度ではありません。処分の効力を前提とすると権利主張が成り立たないのか、処分の無効を主張するのかも分けます。形式的当事者訴訟は、被告などについて個別法の規定を確認します。
確認問題
解答・解説:処分性が否定されても、それだけですべての司法的救済が閉ざされるわけではありません。争う地位や権利を具体化し、公法上の法律関係に関する確認・給付の訴えと、その訴訟要件を検討します。
根拠条文・参考資料
よくある質問
行政庁の通知が処分に当たらなければ、公法上の権利について裁判を求める手段も必ずなくなるか。
処分性が否定されても、それだけですべての司法的救済が閉ざされるわけではありません。争う地位や権利を具体化し、公法上の法律関係に関する確認・給付の訴えと、その訴訟要件を検討します。