本案判決を待てない場合に、仮に処分をさせ、又は処分を止める制度です。本案訴訟の提起、償うことのできない損害を避ける緊急の必要、本案について理由があるとみえることを確認します。
制度の基本と判断の出発点
行政事件訴訟法37条の5は、義務付け・差止め訴訟に対応した仮の救済を定めます。仮の義務付けには義務付けの訴え、仮の差止めには差止めの訴えが提起されている必要があります。独立した一般的な行政上の仮処分制度ではありません。
処分がされないこと又は処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため、緊急の必要があり、本案について理由があるとみえるときに、申立てにより裁判所が命じます。公共の福祉への重大な影響のおそれも別に確認します。
事例で確認する順番
- 本案が義務付けか差止めかを特定し、対応する訴えの提起を確認する。
- 償うことのできない損害と、その回避を待てない緊急性を具体的に示す。
- 本案の理由の見込みと、公共の福祉への重大な影響のおそれを確認する。
具体例で考える
就学や生活を支える給付に関する処分がされず、判断を待つ間に回復困難な不利益が生じると主張する場合、単に生活が不便と述べるだけでは足りません。期限、代替手段、後の金銭回復で足りるか等を示し、本案で義務付けが認められる見込みも説明します。
例外・区別しておくこと
執行停止の「重大な損害」と37条の5の「償うことのできない損害」は条文の表現が異なります。拒否処分の効力だけを止めても希望する許可等が得られるとは限らないため、必要な救済の内容から制度を選びます。
確認問題
解答・解説:できません。義務付けの訴えが提起されていることが必要です。仮の救済の要件は、本案訴訟との関係を含めて検討します。
根拠条文・参考資料
よくある質問
本案の義務付け訴訟を提起せず、37条の5による仮の義務付けだけを申し立てられますか。
できません。義務付けの訴えが提起されていることが必要です。仮の救済の要件は、本案訴訟との関係を含めて検討します。