行政代執行は、義務者に代わって行政庁又は第三者が一定の行為を実現し、費用を徴収する制度です。代替的作為義務、公益要件、戒告・代執行令書の手続を順に確認します。
制度の仕組みと検討する要件
行政代執行法2条は、法令により直接命じられ、又は行政庁が法令に基づき命じた行為のうち、他人が代わってできる行為を対象とします。違法建築物の除却等が典型で、金銭を払う義務や本人が自ら受忍すべき検査をすべて代執行できるわけではありません。義務を課す根拠と、その義務を強制実現する根拠は分けて示します。
義務者が履行しないだけでなく、他の手段で履行を確保することが困難で、その不履行を放置することが著しく公益に反することが必要です。3条は相当の履行期限を定めた文書による戒告と、実施時期・責任者・費用概算等を示す代執行令書を原則とし、非常又は危険切迫の場合の例外も定めます。現場では責任者の証票等、実施段階の規律も確認します。
判断の順序
- 法令上の義務と、他人が代わって実現できる作為かを確定する。
- 不履行、他の手段の困難、著しい公益侵害を検討する。
- 戒告・代執行令書又は緊急例外、実施・費用徴収を確認する。
事例へのあてはめ
倒壊危険のある工作物について適法な除却命令が出されたのに履行されない例では、除却が第三者でもできるか、放置の危険、任意履行等による確保の困難を確認します。除却命令があることだけで直ちに行政庁が作業を開始できるわけではなく、原則となる戒告等の手続も必要です。
混同しやすい点
代執行は既存の義務の代替的実現です。義務を先に課す余裕のない危険に対処する即時強制や、身体・財産へ直接力を加える直接強制と同じ制度ではありません。費用徴収も一般の損害賠償とは区別します。
確認問題
解答・解説:同条の代執行の対象ではありません。対象は他人が代わってできる作為義務です。金銭債権の強制徴収は、その根拠となる別の法令と手続によって検討します。
根拠となる一次資料
よくある質問
法令に基づく金銭納付義務を果たさない人に対し、行政代執行法2条で代執行することはできますか。
同条の代執行の対象ではありません。対象は他人が代わってできる作為義務です。金銭債権の強制徴収は、その根拠となる別の法令と手続によって検討します。