行政上の即時強制は、事前に義務を命じる余裕がない場面などで、身体や財産へ直接働き掛ける仕組みです。既に課された義務を実現する直接強制や代執行と区別し、根拠条文と必要最小限の範囲を確かめます。
制度の仕組みと要件
即時強制では、相手方に具体的な作為・不作為義務を命じ、その不履行を待つという段階を踏まず、危険の除去などのため直接実力を用います。警察官職務執行法3条の保護や4条の避難等の措置が学習上の例です。危険があるからといって、行政機関に一般的・無制限の実力行使の権限が与えられるわけではありません。個別の法律が定める対象・状況・手段を先に探します。
直接強制は、行政上の義務が既に存在することを前提に、身体や財産へ実力を加えてその義務を実現する方法です。代執行は、他人が代わって行える作為を行政庁又は第三者が実施し、その費用を義務者から徴収する仕組みです。どれも結果として財産に働き掛けることがあるため、見た目の強さではなく、義務の存在と代替可能性から分類します。
実力行使が法律の要件に合う場合も、手段・程度が目的のために必要かを検討します。警職法1条2項は職権を職務遂行のため必要な最小の限度で用いることを求めています。危険の切迫性、本人の状態、ほかに採れる手段、行為の継続時間を具体的に確認し、根拠があることと個別の行使が適法であることを分けます。
事例を検討する順序
- 事前に命じられた行政上の義務があるかを特定する。
- 身体・財産への行為を認める個別の根拠と要件を確認する。
- 危険の程度と代替手段を比較し、行使の範囲を評価する。
具体例で確かめる
洪水で堤防が決壊するおそれが高まり、特に急を要し、警告だけでは危険を避けられないため警察官が危険区域にいる人を避難させる場面を考えます。直ちに危険を避ける必要があるという事情を、警職法4条の要件に対応させます。避難後も危険と関係のない場所に長時間拘束し続けるなら、最初の移動に根拠があっても、その後の行為まで当然に適法になるわけではありません。
似た制度との違い
即時強制と直接強制は、事前の義務の存在を区別するための分類です。現場の措置が速かったというだけでは即時強制とはいえません。また、代執行できる作為義務があることから、同じ目的のため身体に直接実力を加える権限まで導くことはできません。
確認問題
解答・解説:分類は実力行使の有無だけでは決まりません。先行する除却義務の有無、義務の内容、代執行の手続を踏んだか、別の緊急措置の根拠があるかを確認します。
根拠条文・参考資料
よくある質問
行政機関が危険な建物を除去したとき、実力を使っているので必ず即時強制に分類されるか。
分類は実力行使の有無だけでは決まりません。先行する除却義務の有無、義務の内容、代執行の手続を踏んだか、別の緊急措置の根拠があるかを確認します。