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Case Brief

クロロホルム事件|実行の着手と早すぎた結果の発生

被害者を失神させてから海中へ転落させる殺害計画について、先行行為の段階で実行の着手を認めた決定です。着手時期と、計画より早い死亡による故意の問題を分けます。

更新日: 2026年10月23日

裁判所

最高裁判所第一小法廷

判決日

2004-03-22

引用

刑集 第58巻3号187頁

判旨・学習上の位置づけ

事案:被害者へクロロホルムを吸引させて失神させ、その後自動車ごと海中へ転落させて殺害する一連の計画が実行されました。海中へ転落させる前に最初の行為で死亡していた場合も含め、殺人罪の成立が問題となりました。 争点:最終的な転落行為の前の吸引行為の開始時に殺人の実行の着手があるか、予定した段階より早く死亡していたとしても殺人の故意・既遂を認められるかが争点です。 判断:最高裁は、吸引行為が後の殺害行為を確実・容易にするため必要不可欠で、成功後の計画遂行に特段の障害がない等の事情から、その開始時に実行の着手を認めました。また、一連の殺人行為に着手して目的を遂げた場合、認識と異なり吸引の段階で死亡していたとしても殺人の故意を欠かず、既遂になるとしました。複数の行為の密接な関係を具体的に評価した判断です。

射程

準備行為であればどれでも早く実行の着手を認める判例ではありません。先行行為の必要性、後続行為との時間・場所の関係、計画遂行の障害等を確認し、本件の一連性を説明します。 実行の着手、客観的な因果関係、因果経過についての認識は別の検討事項です。「早すぎた結果」という名称だけで既遂を認めず、どの行為にどの故意があり、その行為が何を生じさせたかを整理します。

根拠条文・参考資料

資料の確認日:2026年10月23日