想定と異なる経過で結果が生じたときは、客観的な因果関係と故意を分けます。予定した行為より前に結果が発生した場合も、実行の着手と一連の行為の評価を先に確認します。
客観面と認識のずれ
行為から結果までの経過が予想と違うだけで、直ちに故意がなくなるわけではありません。まず実際の行為と結果の間に因果関係を認められるかを検討します。その後、行為者が認識していた事実と実際の事実のずれが、故意の認定にどのように影響するかを考えます。結果を意図していたという理由だけで、客観的な帰属を省略することもできません。
早すぎた結果発生
後の行為で殺害する予定だったのに、先行する行為で死亡した場合などが問題になります。単に死亡時期が早いと述べるだけでなく、先行行為の危険性、後続行為との関係、計画上の位置付け、実行の着手を整理します。クロロホルム事件の最高裁平成16年3月22日決定は、先行行為の段階での着手や故意を考える重要な裁判例です。すべての準備行為を一律に実行行為へ取り込むものではありません。
事例の書き方
時系列表に、認識・実際の行為・結果を対応させます。実行の着手前なら準備と未遂の区別、着手が認められるなら結果との関係と故意を検討します。因果関係の錯誤に関する学説の名称だけを挙げず、どの事実を基礎に既遂又は未遂等の結論へ進むかを説明します。介在行為がある場合は、その異常性や当初の危険との関係も別に評価します。
具体例で考える
AがBを意識不明にして海へ運び、溺死させる計画だったのに、意識を失わせるための行為でBが死亡したとします。準備だったという本人の呼び方だけで決めず、先行行為の危険性と後続行為との密接な関係から着手を検討し、実際の死因と故意を順に判断します。
間違えやすい点
故意、因果関係、実行の着手を一つにまとめず、結論に必要な事実をそれぞれ示します。結果が意図より早い、又は介在事情があるというだけで既遂・未遂の結論を固定しません。
確認問題
解答・解説:できません。実行の着手、実際の行為と死亡との因果関係、認識のずれと故意を順に確認します。
よくある質問
予定より早く死亡した場合、客観的な因果関係を検討せず、殺意だけで殺人既遂とできますか。
できません。実行の着手、実際の行為と死亡との因果関係、認識のずれと故意を順に確認します。