論点解説
株主総会と取締役会の違い|決定・監督・代表権を分ける
株主総会と取締役会は、構成員だけでなく決議できる事項や決議要件も異なります。取締役会の有無を確認し、代表取締役による契約締結まで三段階で整理します。
株主総会は株主が議決権を行使する機関、取締役会は取締役で構成される機関です。ただし「大切なことはすべて株主総会」と覚えると、取締役会設置会社の仕組みを取り違えます。機関構成を確定してから、決定・監督・実際の執行を分けましょう。
違いを比較する
確認する点 | 株主総会 | 取締役会 |
|---|---|---|
構成 | 株主が議決権を行使する | すべての取締役で組織する |
取締役会設置会社での権限 | 法律又は定款に定める事項を決議 | 業務執行の決定・職務執行の監督・代表取締役の選解職等 |
取締役会がない会社 | 株式会社に関する一切の事項を決議できる | そもそも機関として存在しない |
決議要件の根拠 | 309条等。普通決議と特別決議を区別 | 369条等。特別利害関係のある取締役にも注意 |
機関の有無で株主総会の権限が変わる
295条1項は取締役会を設置しない株式会社の総会に広い権限を認めます。一方、取締役会設置会社には同条2項が適用され、法律又は定款に定める事項に限られます。取締役を選任する決議と、個々の重要な業務執行を決めることを同一視しないようにします。
取締役会の決定と会社の代表は別
通常の取締役会設置会社では、重要な財産の処分や多額の借財など、取締役へ決定を委任できない事項があります。取締役会が処分を決めても、その決議だけで売買契約の相手方への意思表示が完了するわけではありません。対外的には代表取締役の代表権も確認します。監査等委員会設置会社等の委任特則がある場合は分けて検討します。
事例で区別する
通常の取締役会設置会社Xで、重要な工場の売却を検討しています。取締役会が売却を決定し、代表取締役Aが買主Bと契約するなら、社内の決定と対外的な代表行為を区別して整理できます。
条件が変わったら
Xが取締役会を置いていない会社なら、取締役会決議という手続をそのまま要求できません。株主総会の権限や取締役による業務決定、定款の内容を確認し直します。
混同しやすい点
株主総会の普通決議の定足数を、取締役会決議に流用しない。
取締役会による代表取締役の選定と、株主総会による取締役の選任を区別する。
機関決定を欠く場合の対外的な契約の効力は、別途検討する。
確認3問
問1 取締役会設置会社の総会は、定款の定めがなくても全業務を決議できますか。
問2 取締役会は代表取締役の職務執行を監督しますか。
問3 取締役会が契約を承認すれば、代表者の行為と同じですか。
解答と理由
問1の解答
できません。295条2項により法律又は定款に定める事項に限られます。
問2の解答
監督します。362条2項は取締役の職務執行の監督を職務に含めます。
問3の解答
同じではありません。内部での決定と、外部に会社を代表する行為を分けます。
法令確認日:2026年10月27日。事例と確認問題は学習用に作成したものです。具体的な事件では適用時点や経過措置も確認してください。