LLavaLex法律資格学習プラットフォーム
民法standard

無権代理とは|追認・相手方の取消し・117条責任

代理権のない者が本人名義で契約しても、原則として本人には効力が生じません。本人による追認、相手方による催告・取消し、無権代理人自身の責任を、当事者ごとに分けて整理します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

順番に学ぶ

論点・条文・判例を、つまずきやすい箇所を確かめながら読み進めます。

30秒でわかる結論

代理権のない者が本人名義で契約しても、原則として本人には効力が生じません。本人による追認、相手方による催告・取消し、無権代理人自身の責任を、当事者ごとに分けて整理します。

到達目標

  • ✓本人への効果帰属を、実際の代理権・表見代理・追認の順で検討する。
  • ✓117条の履行又は損害賠償責任と、同条2項の責任除外を検討する。
  • ✓具体例について、要件に対応する事実を挙げて結論を説明する。

ひっかけポイント

  • !117条2項では、相手方の悪意・過失、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合の例外、無権代理人の制限行為能力を分けて確認します。「相手方に少しでも過失があれば一律に免責」と覚えないことが大切です。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

代理権のない者が本人名義で契約しても、原則として本人には効力が生じません。本人による追認、相手方による催告・取消し、無権代理人自身の責任を、当事者ごとに分けて整理します。

制度の基本と判断の出発点

民法113条は、無権代理による契約が本人に効力を生じるために本人の追認を必要とします。契約が直ちに本人を拘束するわけではなく、追認できる未確定の状態が生じます。実際の代理権、顕名、表見代理の成否を確認してから、この原則を適用します。

相手方は114条により本人へ相当期間を定めて確答を催告でき、無回答なら追認拒絶とみなされます。115条の取消しは本人の追認まで可能ですが、契約時に無権代理と知っていた相手方には認められません。117条は、一定の場合に無権代理人へ履行又は損害賠償の責任を課します。

事例で確認する順番

  1. 本人への効果帰属を、実際の代理権・表見代理・追認の順で検討する。
  2. 相手方の催告・取消しと本人の追認が、いつ行われたかを確定する。
  3. 117条の履行又は損害賠償責任と、同条2項の責任除外を検討する。

具体例で考える

Bが権限なくA名義でCと売買し、Aが追認しなかった場合、Cは直ちにAへ履行を請求できるとは限りません。表見代理が成立しなければ、Bに対する117条責任を検討します。Cが権限不存在を知っていた場合などは責任除外の問題になります。

例外・区別しておくこと

117条2項では、相手方の悪意・過失、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合の例外、無権代理人の制限行為能力を分けて確認します。「相手方に少しでも過失があれば一律に免責」と覚えないことが大切です。

確認問題

解答・解説:必ずしも否定されません。117条2項2号ただし書は、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合を除外しています。同項の本文とただし書を併せて確認します。

根拠条文・参考資料

よくある質問

相手方に代理権不存在を知らない過失があれば、無権代理人が権限不存在を知っていた場合も必ず117条の責任は否定されますか。

必ずしも否定されません。117条2項2号ただし書は、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合を除外しています。同項の本文とただし書を併せて確認します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

代理権のない者が本人の代理人として契約しても、本人が追認しない限り本人には効力が生じない。相手方には催告・取消しなどの手段がある。

  1. 代理権がない又は範囲外で、表見代理も成立しないかを確認する。
  2. 本人の追認又は拒絶があるか、追認前の相手方が善意かを確認する。
  3. 無権代理人への履行・損害賠償請求では117条の例外を確認する。
効果
本人の追認があれば原則として契約時に遡って効果が生じるが、第三者の権利を害せない。相手方は本人に相当期間を定めて追認するか催告でき、確答がなければ追認拒絶とみなされる。
例外・注意点
追認前の取消しは、相手方が代理権の不存在を知っていた場合にはできない。無権代理人の責任では、相手方の悪意・過失や無権代理人の制限行為能力などを確認し、過失のある相手方でも無権代理人自身が権限不存在を知っていた場合は別に扱う。
無権代理の取消しと詐欺取消しとの比較
115条は追認前の不安定な契約関係から相手方を離脱させる制度である。詐欺がなくても行使でき、相手方の悪意には制限がある。

事例で考える

BはAの代理人だと称して、代理権がないことを知りながらCから設備を購入した。Cは権限を信じたが、その確認には過失があった。Aは追認を拒絶した。Bは行為能力者である。

Cの過失だけでBの117条責任は必ず否定されるか。

答えと理由を見る

必ず否定されるわけではない。

117条2項2号は相手方の過失を責任除外事由とするが、無権代理人が権限の不存在を知っていた場合を除いている。Bが悪意なので、その過失だけで責任は免れない。

自分の言葉で説明する

催告に返事がなかった場合と、相手方が取消しをした場合を区別して説明する。

説明例を見る

114条の催告後に期間内の確答がなければ、本人が追認を拒絶したと扱う。115条の取消しは相手方自身がする意思表示で、本人の追認前かつ相手方が悪意でないことが必要となる。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
CはBに履行又は損害賠償を請求できるか。
判断の基準
無権代理人は117条により相手方の選択に従う責任を負う。相手方に過失があっても無権代理人が悪意なら同条2項2号の免責はない。
事実へのあてはめ
Bは権限がないことを知り、Aは追認を拒絶した。Cは善意である。
結論
他の免責事由がなければCはBに117条の責任を追及できる。

覚えておきたい問い

本人に追認の催告をし、相当期間内に確答がなければどうなるか。

答えを確かめる

114条により追認を拒絶したものとみなされる。沈黙を追認とみなすのではない。

保存した内容を見る

無権代理の相手方が115条で契約を取り消せないのはどのような場合か。

答えを確かめる

本人が既に追認した場合、又は契約時に代理権がないことを知っていた場合。相手方の単なる過失だけで115条の取消権は失われない。

保存した内容を見る

相手方に過失があれば、無権代理人は117条の責任を常に免れるか。

答えを確かめる

常には免れない。無権代理人が自分に代理権がないと知っていた場合、相手方の過失による免責は認められない。

保存した内容を見る

無権代理による解除通知などの単独行為にも、契約の無権代理規定が当然に適用されるか。

答えを確かめる

118条の条件を確認する。行為時に相手方が代理権不存在を争わず、又は代理権のない行為に同意した場合などに、113条以下を準用する。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

A・C間の契約効果と、B・C間の法定責任を段落で分けます。追認・取消しの時系列を明示し、117条では履行又は損害賠償という選択と責任除外を当てはめます。

この論点を問題で確かめる

関連する11問から出題します。解答後に解説を読み、条文・判例へ戻って復習できます。

問題を解く →学ぶ範囲に迷ったら、登録せず8問で確かめる →

次にやること

この論点は単独で暗記するより、条文・判例・関連論点とつなげて読むと定着しやすくなります。