人権が誰に保障されるかは、自然人・法人、日本国民・外国人という区分だけでは決まりません。問題となる権利の性質と保障の趣旨を示し、その主体に保障が及ぶ範囲を検討します。
制度と判断の出発点
法人については、財産権や表現活動など、法人が活動する性質に適合する権利が問題となります。他方、身体の自由や選挙権などを自然人の場合と一括して論じることはできません。法人に保障が及ぶかという問題と、その活動をどこまで規制できるかは区別します。
外国人についても、人権規定が一切適用されないわけではありません。人としての権利の保障を出発点に、国民としての地位に結び付く権利かを検討します。入国・在留、参政、社会保障などでは、それぞれの制度と権利の性質を踏まえる必要があり、すべての権利に同じ結論を当てはめません。
事例で確認する順番
- 誰がどの権利の保障を主張しているかを特定する。
- 権利の性質と保障の趣旨から、主体に保障が及ぶかを検討する。
- 保障が及ぶことと、具体的な制約が許されることを分けて判断する。
具体例で考える
外国人の集会への参加が制限された場合、「外国人なので憲法の問題にならない」とは処理しません。表現・集会という権利の性質、制限の根拠、具体的な在留上の問題を分けて検討します。法人の政治的活動を扱う場合も、自然人の投票行動と同じ問題にはしません。
区別しておきたい点
人権享有主体性と、訴訟で請求できる立場にあるかという原告適格は別の論点です。また、法人と代表者のどちらの権利が制約されているかを曖昧にすると、保護される利益や制約の程度の説明がずれます。
確認問題
解答・解説:当然には導けません。権利ごとに性質を確かめ、法人の活動と保障の趣旨が適合するかを判断します。主体を一度分類しただけで、その後の検討を省略しないようにします。
根拠条文・判例
よくある質問
法人に財産権の保障が及ぶことから、自然人に認められるすべての人権も当然に保障されますか。
当然には導けません。権利ごとに性質を確かめ、法人の活動と保障の趣旨が適合するかを判断します。主体を一度分類しただけで、その後の検討を省略しないようにします。