捜査機関が相手方に働きかけ、犯罪の実行を待って検挙する捜査です。機会提供型・犯意誘発型という分類だけで結論を決めず、犯罪の性質、既存の犯意、働きかけの態様、捜査の必要性を検討します。
制度の基本と判断の出発点
おとり捜査は、捜査員等が身分や意図を隠して相手方に取引等を働きかけ、犯罪を実行したところを検挙する方法です。欺罔的な要素があるから直ちにすべて違法になるわけではありませんが、捜査機関が犯罪を作り出すことへの懸念から限界が問題になります。
最高裁平成16年7月12日決定は、直接の被害者がいない薬物犯罪等で通常の捜査だけでは摘発困難な場合に、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象とするなど、判示の事情の下で任意捜査として許容しました。具体的な判断を離れた全面的な許可ではありません。
事例で確認する順番
- 対象犯罪の性質と、通常の捜査だけでは摘発しにくい事情を示す。
- 相手方に既存の犯罪意思が疑われる事情と、捜査員の働きかけを分ける。
- 働きかけの強さ、対象者、取引の経過を踏まえ、必要性・相当性を判断する。
具体例で考える
捜査員が、既に薬物を売る意思を示している者に買受けを申し込み、提示された取引に応じた場合と、拒否する者へ繰り返し強い圧力をかけて犯罪へ向かわせた場合を比べます。両者を同じ「おとり」として処理せず、犯意と働きかけの経過を具体的に見ます。
例外・区別しておくこと
最高裁が許容した事情を確認せず、「機会提供なら必ず適法」「犯意誘発なら必ずこの判例で違法」と機械的に二分しません。犯罪の成立、捜査手続の適法性、証拠能力の判断も区別します。
確認問題
解答・解説:常に違法とはなりません。犯罪の性質、摘発の困難性、対象者の既存の犯意、働きかけの態様を総合して検討します。判例の許容範囲を事実に即して説明します。
根拠条文・参考資料
よくある質問
捜査機関が身分を隠したという事実だけで、おとり捜査は常に違法となりますか。
常に違法とはなりません。犯罪の性質、摘発の困難性、対象者の既存の犯意、働きかけの態様を総合して検討します。判例の許容範囲を事実に即して説明します。