会計監査人と監査等委員会は、いずれも会社の監査に関わりますが、資格も会社内部での地位も違います。会計監査人の会計監査と、取締役である監査等委員による監査・監督を分けて理解します。
仕組みと条文の読み方
337条は会計監査人を公認会計士又は監査法人に限定します。会計監査人は会社の計算書類等を監査する専門家であり、396条による会計帳簿等の閲覧・調査や説明請求の権限を持ちます。会社法上の「役員」に当然含まれるわけではない点は、330条や423条の役員等という表現と比べると分かりやすくなります。
監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役を3人以上置き、その過半数を社外取締役とする必要があります。監査等委員は取締役会の構成員として議決に参加し、399条の2以下により職務執行の監査、監査報告の作成などを行います。「委員会」という名称から、外部の専門家だけで構成すると考えないようにします。
監査等委員会設置会社は、取締役会と会計監査人を置きます。監査役は置けません。したがって会計監査人と監査等委員会は、どちらかを選ぶ二者択一の機関ではありません。会社が採用した機関設計を確認してから、それぞれが何を調査し、誰に報告するかを整理します。
指名委員会等設置会社にある監査委員会とは名称が似ていますが、制度全体が異なります。監査等委員会設置会社について、指名委員会・報酬委員会も当然に必要としたり、執行役が必ず置かれるとしたりしてはいけません。試験では、監査等委員の選任を他の取締役と区別することも確認します。
事例を検討する順番
- 会社が採用する機関設計と必要な機関を確かめる。
- 会計監査人の資格と会計監査の権限を整理する。
- 監査等委員が取締役会で持つ地位を、監査役や監査委員と比較する。
具体例に当てはめる
A社が監査等委員会設置会社へ移行し、公認会計士Bを会計監査人に選任した場合、Bを選んだだけで監査等委員である取締役の配置が不要になるわけではありません。反対に、監査等委員3人を置いたことを理由に、会計監査人を省略することもできません。二つの機関が併存して別の役割を担います。
似た制度との違い
監査役は取締役ではなく、取締役会の議決には加わりません。監査等委員は取締役として議決に参加します。会計監査人は専門資格を持つ監査主体であり、取締役会の構成員になるわけではありません。
確認問題
解答・解説:できません。327条の機関設計を確認すると、監査等委員会設置会社には会計監査人が必要です。専門家による会計監査と、監査等委員会による監査・監督を別の役割として扱います。
根拠条文
よくある質問
監査等委員会設置会社では、会計監査人を置かずに監査等委員会だけで会計監査を行えるか。
できません。327条の機関設計を確認すると、監査等委員会設置会社には会計監査人が必要です。専門家による会計監査と、監査等委員会による監査・監督を別の役割として扱います。