LLavaLex法律資格学習プラットフォーム
会社法standard

株式の譲渡制限とは?承認請求と買取りの仕組み

株式は原則として譲渡できますが、会社は定款で取得に会社の承認を要する旨を定められます。不承認の場合の買取手続まで一連で整理します。

更新日: 2026年10月22日著者: LavaLex編集部

30秒でわかる結論

株式は原則として譲渡できますが、会社は定款で取得に会社の承認を要する旨を定められます。不承認の場合の買取手続まで一連で整理します。

到達目標

  • ✓譲渡自由の原則と定款制限を説明する
  • ✓承認請求から買取りまでの流れを整理する

ひっかけポイント

  • !非上場会社と会社法上の非公開会社を同一視する。
  • !不承認なら必ず自動的に会社が買い取ると考える。

試験別重要度

S/A/B/Cは、各試験での学習優先度を示す目安です。出題年度や個別の学習状況に応じて補助的に使ってください。

株式の譲渡制限の基本

会社法127条は株式譲渡の自由を基本とし、107条等は譲渡制限を認めます。閉鎖的な会社では、誰が株主になるかが経営や信頼関係に大きく影響するためです。譲渡制限は第三者への譲渡を永久に封じるという意味ではなく、承認請求と不承認時の出口が制度化されています。

具体例で考える

Aが非上場会社の譲渡制限株式をBに売りたい場合、定款と株式の内容を確認した上で会社へ承認を請求します。会社がBの取得を承認しないときに、会社または指定買取人による買取りを求める意思表示をしていたかが、後続手続に関わります。

判断するときの順序

  1. 対象株式に定款上の譲渡制限があるかを確認する。非上場という事実だけでは断定しない。
  2. 株主または取得者による承認請求について、必要事項と承認機関を確認する。
  3. 不承認時の会社・指定買取人による買取り、通知期間、売買価格の決定等を順に検討する。

例外・関連制度との区別

承認の決定は原則として株主総会、取締役会設置会社では取締役会が行いますが、定款に別段の定めを置けます。公開会社かどうかは上場の有無ではなく、発行する全部の株式に譲渡承認が必要かという会社法上の定義で判断します。相続等の一般承継も通常の譲渡と同一には扱えません。

確認問題

解答・解説:誤りです。非上場かどうかと、定款に譲渡制限があるかは別の問題です。対象株式の内容と定款を確認します。

よくある質問

会社が譲渡を承認しなければ、株主は必ず持ち続ける必要がありますか。

法定の手続に従い、不承認の場合に会社等による買取りを請求する仕組みがあります。請求内容と通知期間等を確認します。

例題で確かめる

まず自分で答えてから、解説を開いて確かめてください。下の確認カードは、内容を見直して自分の復習に保存できます。

最初に押さえること

株式は原則として譲渡できます。譲渡承認を要する定款の定めがある場合は、承認の可否と、不承認時の買取りを順番に検討します。非上場であることだけでは譲渡制限の有無は決まりません。

  1. 対象株式の内容と定款を確認する。
  2. 承認請求者と承認機関を確かめる。
  3. 不承認時の買取請求、会社の通知、指定買取人の有無を時系列にする。
効果
承認がされれば、取得者を株主として会社に認めさせるための手続へ進みます。不承認の場合にも、所定の請求をしていれば会社又は指定買取人の買取りによる出口があります。
例外・注意点
承認しないという決定だけで、いつでも自動的に会社の買取義務が生じるわけではありません。一般承継による取得には、通常の譲渡と別の規律があります。
非上場・非公開・譲渡制限との比較
非上場は市場への上場の有無、非公開会社は全部の株式について譲渡承認を要する会社の区分、譲渡制限は対象株式の内容です。同じ言葉として置き換えず、それぞれ確かめます。

事例で考える

取締役会設置会社Xの定款には、承認機関の別段の定めはありません。株主AはBへの譲渡承認と、不承認時の買取りを適法に請求しました。Xは不承認とし、指定買取人を指定しませんでした。

承認機関と、不承認後にXが負う義務を説明してください。

答えと理由を見る

承認の可否は取締役会が決めます。所定の買取請求があり、指定買取人もいないため、Xによる買取りが必要です。

139条は取締役会設置会社の承認決定を原則として取締役会に委ねます。さらに138条の買取請求を伴うため、不承認となったときは140条1項の買取義務が問題になります。承認機関の決定と、買取義務の発生条件を別々に当てはめます。

自分の言葉で説明する

非上場・非公開・譲渡制限との違いを、自分の言葉で説明してください。

説明例を見る

非上場は市場への上場の有無、非公開会社は全部の株式について譲渡承認を要する会社の区分、譲渡制限は対象株式の内容です。同じ言葉として置き換えず、それぞれ確かめます。 承認しないという決定だけで、いつでも自動的に会社の買取義務が生じるわけではありません。一般承継による取得には、通常の譲渡と別の規律があります。

答案にするときの書き方

上の事例に対する短い記述例です。実際の答案では、設問に応じて他の要件や反対事情も検討します。

争点
承認機関と、不承認後にXが負う義務を説明してください。
判断の基準
株式は原則として譲渡できます。譲渡承認を要する定款の定めがある場合は、承認の可否と、不承認時の買取りを順番に検討します。非上場であることだけでは譲渡制限の有無は決まりません。
事実へのあてはめ
139条は取締役会設置会社の承認決定を原則として取締役会に委ねます。さらに138条の買取請求を伴うため、不承認となったときは140条1項の買取義務が問題になります。承認機関の決定と、買取義務の発生条件を別々に当てはめます。
結論
承認の可否は取締役会が決めます。所定の買取請求があり、指定買取人もいないため、Xによる買取りが必要です。

覚えておきたい問い

非上場という事実だけで譲渡制限を判断できますか。

答えを確かめる

株式譲渡は127条により原則自由である。譲渡による取得に会社の承認を要するという定款の定めがあるかを確認する。証券取引所に上場しているかどうかだけでは、譲渡制限の有無は決まらない。 2条5号の公開会社の定義は、発行する全部又は一部の株式について譲渡承認を要する旨の定款の定めがない会社を対象とする。一部でも譲渡制限のない株式があれば、非上場であっても公開会社に当たる。

保存した内容を見る

譲渡前の株主と取得後の取得者は、それぞれ承認を請求できますか。

答えを確かめる

136条は、譲渡制限株式を譲渡しようとする株主からの承認請求を認める。既に譲渡が済んでいることは要件ではない。譲渡予定の相手方を明らかにした上で承認の判断を求める仕組みである。 137条1項は、譲渡制限株式を取得した者からの承認請求を認めている。原則として株主名簿上の株主等と共同して請求するという手続上の条件はあるが、事前請求がなかったことだけで取得者の請求を否定できない。

保存した内容を見る

定款に特則がない場合の譲渡承認機関は何ですか。

答えを確かめる

139条1項は承認決定を原則として株主総会に委ね、取締役会設置会社では取締役会の決議によるとする。定款の別段の定めがないという設問の条件の下では、代表取締役単独の判断で代えることはできない。 取締役会を設置していない会社の法定の承認機関は株主総会である。139条1項ただし書に基づく定款の別段の定めがあれば別だが、設問はその定めがないため、代表取締役の単独決定では足りない。

保存した内容を見る

不承認時に会社の買取義務が生じる前提は何ですか。

答えを確かめる

140条1項の買取義務は、138条所定の不承認時の買取請求を受けたことが前提となる。承認の可否の決定を求める請求と、不承認時の買取請求は区別され、設問では後者がない。 138条の買取請求を伴う承認請求を受け、会社が不承認とした場合には、140条1項により会社による買取りが必要となる。指定買取人を指定する方法もあるが、設問ではその方法を採っていない。

保存した内容を見る

一般承継と、承認通知をしない場合の規律を説明してください。

答えを確かめる

174条は一般承継による取得者に対する売渡請求について定款の定めを認める。通常の譲渡承認と同じ手続だと決め付けず、定款と175条以下の手続を確認する。 145条1号は、請求の日から2週間以内に139条2項の通知をしない場合のみなし承認を定める。設問には期間や効果を変更する条件がないため、承認決定があったものとして扱う。

保存した内容を見る

答案・記述式での使い方

「譲渡制限だから売買できない」で終わらせず、当事者間の取引と会社に対する株主としての取扱いを分けます。承認請求、不承認通知、買取請求の有無を時系列で整理すると、手続の取り落としを防げます。

この論点を問題で確かめる

関連する10問から出題します。解答後に解説を読み、条文・判例へ戻って復習できます。

問題を解く →学ぶ範囲に迷ったら、登録せず8問で確かめる →

次にやること

この論点は単独で暗記するより、条文・判例・関連論点とつなげて読むと定着しやすくなります。