LLavaLex法律資格学習プラットフォーム

Case Brief

北方ジャーナル事件|名誉権による出版物の事前差止め

公共の利害に関する表現の事前差止めを、原則と例外に分けて判断した判決です。検閲に当たるかと、裁判所の差止めが許されるかを別々に検討します。

更新日: 2026年10月23日

裁判所

最高裁判所大法廷

判決日

1986-06-11

引用

民集 第40巻4号872頁

判旨・学習上の位置づけ

事案:公職の候補者に関する記事を掲載する雑誌について、名誉を侵害する内容であるとして、発行等を止める仮処分が問題となりました。出版後の損害賠償ではなく、情報が読者へ届く前に流通を止める手段が争われた点に特徴があります。 争点:裁判所の仮処分が憲法21条2項の検閲に当たるか、名誉権に基づく事前差止めをどのような条件で認め得るか、審理の手続をどう保障すべきかが問題となりました。 判断:最高裁は、裁判所による仮処分を行政権が主体となる検閲とは区別しました。その上で、公共の利害に関する表現の事前差止めを原則として許さず、内容が真実でないか又は専ら公益目的でないことが明白で、重大で著しく回復困難な損害のおそれがある等の場合に例外を認める枠組みを示しました。検閲でないことだけで差止めを正当化せず、事前抑制の影響を別に審査しています。

射程

公共の利害に関する表現か、虚偽性等が明白か、損害がどの程度かを分けて読みます。通常の名誉毀損の損害賠償と、事前差止めでは検討の構造が異なります。表現の重要性だけで人格権の保護を否定する判決でもありません。 当事者に主張・立証の機会を与える手続の問題も重要です。実体的な差止め要件を満たすかと、どのような審理で判断するかを別に整理し、結論だけを一般化しないようにします。

根拠条文・参考資料

資料の確認日:2026年10月23日