論点解説
当事者能力と当事者適格の違い|訴訟担当・訴訟代理まで比較
一般に訴訟の当事者になれる資格と、特定の請求を追行する資格は異なります。当事者能力、当事者適格、訴訟担当、訴訟代理を同じ事例で整理します。
当事者能力がある人でも、他人の権利を自由に自己の名で訴えることはできません。一般的な資格と、特定の権利関係について訴訟を追行できる資格を分けます。訴状の名義、権利の帰属先、訴訟を担当する根拠を順に確認すると整理できます。
違いを比較する
用語 | 何を確認するか | 区別する点 |
|---|---|---|
当事者能力 | 一般に訴訟の当事者となれるか | 個々の請求権が存在するかとは別 |
当事者適格 | 特定の訴訟物について誰が訴訟を追行できるか | 当事者能力があることだけでは決まらない |
訴訟担当 | 他人の権利等について自己の名で当事者となる根拠 | 権利譲渡や本人名義の代理と区別 |
訴訟代理 | 本人が当事者のまま代理人が行動するか | 代理人自身が当事者となるのではない |
法人格がない団体の扱い
28条は当事者能力等について民法その他の法令による原則を置き、29条は代表者又は管理人の定めがある法人でない社団又は財団について当事者能力を認めます。法人格がないという一点だけで団体名による訴訟を否定せず、組織の実態等と29条の条件を確認します。
選定当事者と判決の効力
30条の選定当事者は、共同の利益を有する多数の者の中から選ばれ、全員のため自己の名で訴訟を追行します。選定だけで実体法上の権利がすべて担当者へ移転するわけではありません。115条1項2号により、その他人へ判決の効力が及ぶことも併せて確認します。
事例で区別する
A・B・Cに共同の利益があり、30条によりAが全員のための選定当事者となりました。Aは自己の名で原告となります。B・Cの名で行動する訴訟代理人になるのではなく、訴訟担当者として追行する例です。
条件が変わったら
AがBから単に「代わりに訴えてほしい」と頼まれた場合は、選定当事者の条件を満たすとは限りません。本人名義の代理なら訴訟代理の資格や権限を、自己名義なら訴訟担当の根拠を確かめます。
混同しやすい点
当事者適格を、成年かどうかだけの問題にしない。
訴訟代理人と訴訟担当者の名義を取り違えない。
権利の帰属と判決効の及ぶ相手を別々に確認する。
確認3問
問1 当事者能力があれば、他人の権利についても当然に原告となれますか。
問2 選定当事者は自己の名で訴訟を追行しますか。
問3 法人格のない団体は、すべて当事者能力を否定されますか。
解答と理由
問1の解答
なれません。特定の請求の当事者適格や訴訟担当の根拠を別に確認します。
問2の解答
追行します。本人の名で行動する訴訟代理との違いです。
問3の解答
否定されません。29条の法人でない社団又は財団の要件を確認します。
法令確認日:2026年10月27日。事例と確認問題は学習用に作成したものです。具体的な事件では適用時点や経過措置も確認してください。