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論点解説

募集株式の発行差止めと無効の訴えの違い|発行前後で救済を選ぶ

募集株式の発行を止めたいときと、効力発生後に争うときでは制度が異なります。210条の差止め、828条の無効の訴え、自己株式処分・新株予約権との違いを確認します。

公開日: 2026年10月27日更新日: 2026年10月27日著者: LavaLex 編集部

最初に確かめるのは、株式発行の効力が既に生じたかどうかです。発行前の差止めと、発行後の無効の訴えでは、目的・要件・手続が異なります。発行前に問題があったことから、発行後も同じ理由で当然に無効になるとはいえません。

違いを比較する

確認する点

発行の差止め

発行無効の訴え

主な時点

効力発生前

効力発生後

根拠

210条

828条1項2号・2項2号等

基本的な条件

法令・定款違反又は著しく不公正な方法と、株主の不利益のおそれ

法定の訴えで効力を争う。無効原因は判例・事案も検討

期間

発行前の救済として時期を確認

効力発生日から原則6か月、非公開会社では1年

違法と不公正を分けて確認する

210条は、法令・定款違反と、著しく不公正な方法による発行を挙げています。さらに株主が不利益を受けるおそれが必要です。決定機関や有利発行の手続に問題があるのか、発行の目的・方法が問題なのかを整理します。裁判上で急いで止める場合は保全手続も関係します。

発行後は条文と無効原因を読み直す

828条は、所定の期間に訴えをもってのみ無効を主張できると定めます。株式発行では同条2項2号の原告となれる者も確認します。不公正な発行が差止事由になることと、発行後の無効原因になることは同じではありません。自己株式処分は同条1項3号、新株予約権発行は同項4号で分けて扱います。

事例で区別する

X社が来月、募集株式を発行する予定で、Aは法令違反と自分への不利益のおそれを主張しています。効力発生前なら、210条に基づく発行差止めを検討します。総会決議を争うだけで発行自体が自動的に止まるわけではありません。

条件が変わったら

既に発行の効力が生じた後なら、同じ差止めでは発行済みの状態を解消できません。828条の訴えの期間・当事者・無効原因を確認します。これが新株予約権の発行前なら、差止めの条文は247条です。

混同しやすい点

  • 発行前・発行後・予約権の行使後を一つの時点として扱わない。

  • 株式発行と自己株式処分の条文の号を取り違えない。

  • 提訴期間が同じでも、差止事由と無効原因を同一視しない。

確認3問

問1 発行前の募集株式について、差止めの条文は何条ですか。

問2 非公開会社の株式発行無効の訴えの期間は何年ですか。

問3 新株予約権の発行前の差止めにも210条を使いますか。

解答と理由

問1の解答

210条です。法令・定款違反又は著しく不公正な方法と、株主の不利益のおそれを確認します。

問2の解答

効力発生日から1年以内です。公開会社の原則6か月と区別します。

問3の解答

対象が異なり、247条を確認します。

法令確認日:2026年10月27日。事例と確認問題は学習用に作成したものです。具体的な事件では適用時点や経過措置も確認してください。

参考資料

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