論点解説
公開会社と上場会社の違い|譲渡制限・定款・機関設計を整理
会社法の公開会社は、証券取引所への上場で決まりません。株式の譲渡制限を起点に、非公開会社や種類株式との違い、取締役会の設置義務を事例で確認します。
「公開会社」は会社法上の分類、「上場会社」は株式が証券取引所に上場している会社を指す呼び方です。非上場だから非公開会社とは限りません。会社法の問題では、上場の有無より先に、定款上すべての株式に譲渡制限が付いているかを確かめます。
違いを比較する
確認する点 | 公開会社・非公開会社 | 上場会社・非上場会社 |
|---|---|---|
分類の出発点 | 会社法2条5号と定款の譲渡制限 | 証券取引所への株式の上場の有無 |
全株式に譲渡制限がある場合 | 会社法上の非公開会社 | 非上場という事実だけでなく定款も確認 |
一部の種類だけ譲渡自由の場合 | 会社法上の公開会社 | その株式が上場されているかは別の確認 |
取締役会 | 公開会社には327条1項1号による設置義務 | 非上場であることは設置義務を否定しない |
定義の「全部又は一部」を読む
会社法2条5号は、発行する全部又は一部の株式の譲渡による取得について、会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社を公開会社とします。一種類でも譲渡制限のない株式があれば、この定義を確認する必要があります。「株式の一部に制限があるから非公開」とは判断できません。
非公開会社でも取締役会は置ける
公開会社には取締役会の設置義務があります。一方、非公開会社であることは、取締役会を置いてはならないという意味ではありません。取締役会の有無は株主総会の権限や募集株式の決定手続にも関係するので、公開・非公開の分類と機関設計を二段階で確認します。
事例で区別する
X社は非上場で、普通株式には譲渡承認を要する定款の定めがあります。しかし、別に発行した優先株式にはその定めがありません。この場合、すべての株式に譲渡制限があるわけではなく、X社は会社法上の公開会社に当たります。
条件が変わったら
優先株式にも譲渡制限があり、発行するすべての株式に承認を要する定めがあるなら、非公開会社として整理します。優先配当の有無ではなく、各種類の譲渡制限の有無が分かれ目です。
混同しやすい点
「公開」を株式市場への公開とだけ理解しない。
公開・非公開と、取締役会設置・非設置を同じ分類にしない。
種類株式があるときは、普通株式の定款条項だけで結論を出さない。
確認3問
問1 非上場という情報だけで、非公開会社と判断できますか。
問2 一部の種類株式に譲渡制限がなければ、公開会社となり得ますか。
問3 非公開会社が取締役会を設置することは禁じられますか。
解答と理由
問1の解答
できません。会社法上は株式の譲渡制限に関する定款の定めを確認します。
問2の解答
なり得ます。2条5号の定義は全部又は一部の株式について譲渡制限の定めがない場合を対象にします。
問3の解答
禁じられません。公開会社の設置義務と、非公開会社での任意の設置は区別します。
法令確認日:2026年10月27日。事例と確認問題は学習用に作成したものです。具体的な事件では適用時点や経過措置も確認してください。