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論点解説

既判力と争点効の違い|主文・理由中の判断・信義則を区別

確定判決があるときも、理由中の判断すべてに既判力が生じるわけではありません。114条の範囲、相殺の例外、争点効という議論、信義則を順に整理します。

公開日: 2026年10月27日更新日: 2026年10月27日著者: LavaLex 編集部

既判力は、確定判決の判断を後の訴訟で矛盾して扱わないための効力です。ただし、その範囲には限界があります。前の裁判で何が話題になったかではなく、どの請求の存否が判断されたかから確認します。

違いを比較する

確認する点

既判力

争点効という議論

出発点

民訴法114条・115条等の規律

前訴の主要な争点の判断を後訴でも拘束的に扱うという学説上の考え方

基本となる対象

主文に包含するもの

理由中の争点判断をどう扱うかが問題

注意点

理由中の認定すべてを対象にしない

既判力と同じ明文の一般制度として扱わない

別途確認するもの

相殺の例外、基準時、当事者等の範囲

信義則による主張制限との区別

まず114条の原則と例外を確かめる

114条1項は、確定判決の主文に包含するものに限って既判力を認めます。理由中に書かれた主要事実や証人の信用性が、すべて独立して確定するわけではありません。同条2項は例外として、相殺のために主張した請求の成立・不成立の判断に、相殺をもって対抗した額について既判力を認めます。

争点効と信義則を一語で済ませない

争点効は、十分に争われた主要な争点の判断を後訴でも拘束的に扱おうとする議論です。114条の既判力がそのまま理由中の判断へ広がると説明するのは避けます。また、既判力が及ばない場合でも、具体的事情の下で後訴の主張が訴訟上の信義則に反するかは別の問題です。何を根拠に、どの主張を制限するのかを明示します。

事例で区別する

Aの貸金返還請求を認める判決が確定し、理由中では証人Cの供述が信用できるとされました。後の別の請求について、Cのすべての供述が既判力により信用できると確定したことにはなりません。前訴の主文に包含される判断を特定する必要があります。

条件が変わったら

Bの相殺の抗弁に用いられた60万円の債権の存否が実際に判断された場合は、114条2項を確認します。一方、Aの請求が別の理由で棄却され、相殺債権の判断に入らなかったなら、主張しただけで同項の既判力は生じません。

混同しやすい点

  • 判決理由の記載を、すべて既判力の対象としない。

  • 争点効という名称だけで後訴の結論を決めない。

  • 基準時後の弁済等は、基準時前の事情の蒸し返しと区別する。

確認3問

問1 114条1項は理由中の全事実に既判力を認めますか。

問2 相殺債権について判断されなかった場合にも、主張しただけで114条2項の既判力が生じますか。

問3 既判力が及ばなければ、信義則を検討する必要もありませんか。

解答と理由

問1の解答

認めません。主文に包含するものに限るのが原則です。

問2の解答

生じません。同項は成立又は不成立の判断を対象とします。

問3の解答

別の問題です。後訴の内容や前訴での経緯等を踏まえ、根拠を分けて検討します。

法令確認日:2026年10月27日。事例と確認問題は学習用に作成したものです。具体的な事件では適用時点や経過措置も確認してください。

参考資料

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