共謀後に犯行をやめたいと思っても、それだけで後の犯罪への責任がなくなるとは限りません。離脱の時期、既に与えた影響、残った者への働きかけを時系列で確認します。
要件と制度の位置づけ
共犯関係からの離脱は、共同して進めていた犯罪について、ある関与者が離れた後の行為・結果をどこまでその者に帰責できるかという問題です。最初から共謀がなかった場合、共謀の範囲外の犯罪の場合と区別します。まず60条等により当初どの関係が成立したかを示し、その後に何が変化したかを検討します。
最高裁平成元年6月26日決定は、共謀して暴行した者が立ち去った後も相手が更に制裁を加えるおそれが消えておらず、これを防止する措置を講じなかった事案で、当初の共犯関係の解消を否定しました。場所を離れたという外形だけでなく、他の共犯者による犯行の継続と、それに対する自分の関与の影響が残っていたかを重視して読みます。
離脱に必要な行動を全事例で一律に定めることはできません。着手前か着手後か、道具の提供や指示など何をしたか、撤回の意思が他の者に伝わったか、防止措置によって寄与を解消できたかを確認します。離脱が認められたとしても、既に完成した犯罪やそれ以前の行為についてまで遡って責任が消えるわけではありません。
判断の順序
- 当初の共謀と役割、離れようとした時点を確認する。
- 既に与えた物理的・心理的な影響と、残った者の行動を整理する。
- 意思表示・防止措置を評価し、離脱前後の責任を分ける。
具体例で考える
AとBがVへの暴行を始めた後、Aが「もう帰る」とだけ言って去り、BがさらにVを殴ったとします。Aが去った後の行為だから直ちに無関係とはいえません。Bが続けるおそれ、Aのそれまでの加勢の影響、制止や救助など実際に取った行動を調べます。Aがその場にいないことと、共犯関係の解消は別の評価です。
区別すべき問題
離脱と中止犯は判断対象が異なります。共犯関係を解消したかを判断せず、本人がやめたから43条ただし書で必ず免除されるという結論には進みません。中止犯でも共同犯罪全体の結果防止等の検討が必要です。
確認問題
解答・解説:常に免れるわけではありません。犯行が続くおそれや自分の関与による影響が残り、防止措置もない場合には、共犯関係が解消したとはいえないことがあります。立去りの事実以外も検討します。
根拠となる一次資料
よくある質問
共謀して暴行を始めた者は、現場から先に帰れば、その後の共犯者の暴行について常に責任を免れますか。
常に免れるわけではありません。犯行が続くおそれや自分の関与による影響が残り、防止措置もない場合には、共犯関係が解消したとはいえないことがあります。立去りの事実以外も検討します。